道路より高い土地の道路斜線制限を天空率でクリア


道路より高い土地の場合、道路斜線は厳しくなります。

河原泰建築研究室河原泰さんの設計したクリフハウスの敷地は、周辺相場の半額以下で販売されていた格安の土地。
道路斜線制限があるため、住宅が建てられずに売れ残っていました。
不動産屋さんは、「道路斜線があるため建物が建てられない」と言っていたとか。
そこで河原さんは、当時まだ施行後まもなかった「天空率」を駆使して家を建てました。

お話を伺った建築家

ユーザー 河原泰建築研究室 河原泰 の写真
東京都中央区日本橋小舟町14-10中町ビル2B
03-3664-5887

クリフハウス

お住いになる家族について

ご夫婦とお子さん2人

間取り

2階
ブリッジでアクセスする玄関
土間・倉庫・書斎
リビングダイニング・キッチン・食品庫・デッキ
1階
勉強で活用するフリースペース
子供部屋として使う和室・プレイルーム
寝室・ウォークインクローゼット・お風呂・倉庫


引き込み道路に2台分の駐車スペース

平面図

土地について

お施主さんから「常磐線沿線に住みたい」とのご要望があり、土地探しからスタート。

北側は窪地で道路があり、南側には引き込み道路、東にも隣家がある鋭角な三角形の土地です。
北側には古い擁壁がありました。
第一種住居専用地域で駅から約10分という好立地でしたが、道路斜線制限によって、家の建築は難しいとされていたため、リーズナブルな価格で売りに出されていました。

古い擁壁の建築確認を行った結果、耐久性に問題がなかったので前向きに検討し購入に至りました。

道路斜線とは?

道路斜線というのは、「道路から斜めに上がる線以上の所に、建物をたててはいけないという法律」のことです。
日照や通風に支障がないように、また圧迫感がないように、建物の高さを規制しているのです。
「適用距離」というのが決められており、道路の反対側に対し、離れていれば離れているほど高い建物が建てられます。

天空率とは?

天空率は道路斜線を緩和するためのものです。
土地をぐるっと360度でみて、2メートル間隔程度のポイントを設定します。
そこから魚眼的に見た際に、「道路斜線に適合した建物に比べて空の占める割合が大きければ良い」という法律です。

天空率

上図は、クリフハウスの天空率を計算した際の図形です。
このように、制限適合建物と天空率を適用した場合の建築物を掲出し、空の割合が少しでも多くなることを証明することで、天空率の適用を受けることができます。

クリフハウスは、三角の鋭角の部分が建物的にはデッドスペースになってしまいますが、天空率的に考えると有利になります。
建物がなかったり、ずれていたりすると、その分空の専有面積が大きくなるので、トータルで建築面積を確保することができます。
クリフハウスは、2階の道路斜線にかかる部分に天空率を使って緩和を受けています。

「最初から道路斜線では家を建てるのは難しいと思っていたので、天空率を使いました」と河原さん。
平成15年の天空率が施行された頃の建築であり、天空率が施行されたからこそ建てられたといえます。

その他の土地に関する問題点

土地が鋭角の三角形をしており、崖がある北側からのアプローチで1階に玄関を作ると、必然的に建物の面積が狭くなってしまいます。
そのため、南側にある引き込み道路からブリッジでアプローチをし、2階に玄関を作ることにしました。

また、南の採光を確保したいけれども、隣に家が建つ可能性が高い土地でした。
駐車場に使う引き込み道路には建物が建たないので、擁壁に対してできるだけ建物を寄せて、南側の隣家と距離を取ることを考えました。
そのため、擁壁の問題が出てきました。

そのため、土地を買う際に擁壁の確認申請の書類をみて構造計算をしました。
擁壁の強度が足りないと、建物を擁壁に寄せることができなかったからです。
検証の結果、擁壁の強度が十分だったため、北向きの家ではありますが、南面からの採光と通風を確保することができました。

断面図1
↑断面図

その他に工夫した点

お施主さんの趣味はアウトドアで、「健康的な住宅にしたい」というご要望がありました。
そのため、壁や天井に吸湿効果の高い珪藻土を吹き付けています。

北側は見晴らしが良く、眺望を確保することができましたが、その分周囲からの視線が気になります。
外からの目線を遮るために、1階は再生木材のルーバーを取り付けました。
ルーバーは、建築当時お子さんが小さかったので、落下防止のフェンスの意味合いもあります。

道路より高い土地に家を建てる際に工夫している点

安全性の確認が非常に重要なポイントになります。
河原さんは、崖上に家を建てた経験があるそうですが、擁壁の安全性が分からない土地だったそうです。
そのため、擁壁を補強しました。

擁壁を補強するには費用が掛かりますが、安全性を確保するためには外すことができません。
安全性の確認というのは、建築家として最も大切なポイントです。

道路斜線と天空率

クリフハウスを例に、道路斜線と天空率について、もう少し詳しくご紹介します。

道路斜線の高低差緩和

道路斜線には、天空率以外にも様々な緩和措置があります。
クリフハウスでは、「道路斜線の高低差緩和」を受けています。

道路斜線の緩和を受けようとする場合、低いところを基準にするとどうしてもシビアになってしまいます。
クリフハウスでいうと、北側の道路と敷地の高低差。
これから1mを引いて、残りの1/2だけの道路面が高い場所にあるものとして計算を行うことができる緩和措置があるのです。
これを利用することにより、建物の面積をより多く確保することができます。

天空率の計算

天空率の計算は、ソフトを使用して行うことができます。

天空率のメリット

 
道路斜線が問題になる土地では、天空率を活用することによって、クリフハウスのように建物の面積をより多く確保することができます。
 

天空率の決まり

2面道路の場合には、2面共に計算して提出をする必要があり、他にも細かい決まりがあります。
例えば、「適用距離は10m」と定められている場所もあります。
今回のクリフハウスは、適用距離内にしか敷地がありませんでしたが、土地の広さによっては適用距離を越えればいくら建てても良くなります。

河原さんは、個人宅だけではなく、大手建築事務所で公共の建築物に携わったご経験をお持ちです。
「土地探しからお手伝いさせていただけると、少し得をするといえるかもしれませんね」と教えてくださいました。
誰が手掛けてもどんな建物でも建つ土地は、値段が高くなってしまいます。

値段が安いけれども工夫を凝らす必要がある土地の方が、やりがいがあるし、そうしたご依頼も多いそうです。
限られた予算の中で、土地の購入を少しでも安くしたい方は、建築家と一緒に土地探しからスタートすると良いかもしれません。
 

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