狭い土地でも床面積を確保することができる「三階建ての家」


 

狭い土地の問題点

 
狭い土地に家を建てる場合、1フロアあたりの面積は狭くなります。
そのため、狭い土地で床面積を確保するためには、階数を増やすのが一般的な方法です。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー TAM建築設計室 新井敏洋 の写真
練馬区土支田1-20-25
03-6913-1105

 

三階建てのメリット

 
三階建てを採用することで下記のようなメリットがあります。
 

  • 狭い土地でも床面積を確保できる
  • 眺望/日照が確保できる
  • 平屋よりも2、3階の方がコスト的に安い
    基礎工事、屋根工事を行う面積が少なくなるので、階層が高くなるほど横に広げるよりは安くなるケースが多いです。
    しかし、狭い土地における三階建てでは、地盤状況・構造状況・法的な要因により、三階建ての方が建築コストが高くなってしまうケースも珍しくありません。

三階建てのデメリット

 
しかし、三階建てには下記のようなデメリットもあります。
 

  • 法的/構造的な制約が多い
    平屋と比べて、防火構造の制約など制約が多くなります。
    例えば、防火地域で2階建て以上の建物を建てる場合には、100㎡を超えると耐火建築物にする必要があります。
    また、土地によっては法的な制限があって、高さを制限されるケースも珍しくありません。
  • 階層をまたぐので移動が大変
    エレベーターを設置する場合、初期費用が200万円位掛かります。
    さらに、メンテナンスは任意ですが、1年に1度5万円程度掛かります。
    しかし、エレベーター1畳分のスペースが必要ですが、階段は2畳分のスペースで済むので、エレベーターの方がコンパクトです。
  • 老後の問題
    階層が高いと、平屋よりは生活の利便性が劣ってしまいます。
    老後を考えて、エレベーターを設置しておくのが良いかもしれません。

三階建てにエアコンを設置する際の注意

 
 
バルコニーに室外機を置くとバルコニーを十分に活用することができません。
エアコンの配管スペースを室内に設けて、室外機は1階に置くようにするのもオススメです。
バルコニーに室外機をおくと、室外機の熱でバルコニーの植物も枯れてしまうので注意してくださいね。
 
エアコンの機器は10年程度で交換になりますが、エアコンの管は20~30年程度使用することができます。
 

三階建ては屋上を活用しましょう!

 
見晴らしも日当たりも良いですし、気分転換にもなるので、屋上はなるべく利用した方が良いです。
洗濯物を干すだけではなく、屋上ガーデニングなどで活用する方もいらっしゃいます。
屋根を作るよりも費用が掛かるケースが多いですが、活かさない法は無いですよね。
 
注意したいのが、屋上に物置を置く場合です。
設置にコストがかかるだけではなく、建築法規的な違反になるケースもあります。
また、屋根の構造の制約がある程風も強いので、飛ばされてしまう危険もあるのです。
三階建ての屋上に物置を置く場合には、事前に建築士に相談をしてください。
 
そしてもうひとつ大切なポイントが防水です。
RCなら水は抑えられますが、鉄骨や木造は防水が切れたら雨が漏ります。
雨漏り対策の防水は、無限ではなく10~20年程度でメンテナンスが必要になります。
屋上を活用する際には、維持管理費用もきちんと計算しておきましょう。

屋上

三階建ての実例

 
 
狭い土地のデメリットを三階建てで解決した実例として、新井さんの設計した下町の景観住宅を取材しました。
 
場所:東京都中央区
家族:夫婦+お子さん1人
土地の面積:20坪
延べ面積:132.22㎡
総工費:約4100万円
 
1階:車庫・納戸・水回り
2階:子供室・図書室・和室
3階:リビングダイニング・横にラウンジ(音楽室)大きなプロジェクターとスピーカーがあります。
 

土地の問題点

 
高層ビルが見える、下町の路地と北側が道路に面している角地です。
お施主さんが路地の雰囲気がお好きで、かねてからお住まいだった下町で土地をお求めになりました。
下町で土地の価格が高いですが、利便性が良く人気があるエリアです。
 
木造がご希望のため、SE構法による耐火建築としました。
 

 

三階建てを採用した理由

 
お施主さんは、下町というエリアに思い入れがあるだけではなく、以下のようなご要望をお持ちでした。
そのため、床面積が確保できる三階建てを採用し、予算の範囲内でなるべく全ての希望を取り入れられるように考慮しました。
 
「下町の雰囲気の中に溶け込むような家を建てたい」
「図書室が/音楽鑑賞ができる場所/駐車場が欲しい」
「仕事の疲れを癒したいのでお風呂を大きくゆったりと。緑を見ながら入浴したい」
「玄関近くの部屋をクロ―ゼット兼納戸にしてそこで着替えをしたい」
「(ご高齢のご両親が泊まるので)ホームエレベーターが欲しい」
「共働きなので、宅配BOXが欲しい」
「軒先にお祭りの提灯をぶら下げるところが欲しい」
 
また、2、3階のバルコニーに鉢を置いて余剰空間に緑を置くことで、窓から緑を楽しむことができるように配慮しました。

バルコニー

 
階段はスケルトンになっており、上からのトップライトが下に落ちるように工夫されていて、狭い土地に建つ家にありがちな日照の問題にも配慮されています。
 

三階建てのポイント

 
SE構法は、壁量が少なくおおきな空間が可能な構造です。
ほぼ外周壁だけで出来たこの建物は、中のものを作り替えができる・可変性のある構造で、将来の家族構成の変化やライフスタイルの変化に柔軟に対応することができます。
そして、間仕切りを極力少なくして引き戸を活用し、空間を広く使うことで、狭い土地でも広く感じることができるようになりました。
 
家具なども上手に活用して目隠しをすることで、将来的な間取りの可変性を確保しながら、プライバシーも保つことが可能です。
ドアだと部屋が仕切られてしまうので、間仕切るなら引き込める扉にするのがオススメです。
 
また、「回遊動線」を作ることで、部屋を狭く感じることがありません。
視線が通るだけではなく、動線に配慮することも重要なポイントのひとつといえます。
 

外観について

 
木造耐火構造だと使用する材料が限られてしまいます。
しかし、この地区は独自の雰囲気を持つエリアだったので、外観の色を合わせなるべくイメージを壊さない設計を心がけました。
 
新井さんは、「制約があっても我慢のない家を建てる」のがモットーだそうです。
「デメリットをメリットに変えて要望をかなえていきたいと思います」と、笑顔で語ってくださったのが印象的でした。
 

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