渡辺篤史の建もの探訪ー住職近接 スケルトン・インフェルの家(内海智行、ミリグラムスタジオ+滝澤雄樹、バジック+細田邦彦、ハウストラッド)

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感想: 

今年のゴールデンウィークは、小さな家づくりに励んだ。
最終日には、広くはないリビングに段ボールハウスが誕生。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「住職近接 スケルトン・インフェルの家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/
想像力、創造力にワクワクするお家だった。
 
            ◇ ◇ ◇
 
スケルトン・インフェルという言葉は、私にとって初めてで、
番組の中での説明を聞いてもなんだかピンとこなかった。
中古住宅をリノベーションとか
築100年以上のマンションや一戸建てを内装を更新して住み繋ぐような欧米の住宅とか
出店者が自由にお店を作り上げるテナントビルとか、
そんなものをイメージしたらよいのだろうか。
そう考えると意外に馴染みはありそうだ。
それにしても、躯体(スケルトン)だけだとどういう状態で、
内装(インフェル)でどの程度作り込まれるのか、なかなかイメージできない。
 
躯体の設計を担当したミリグラムスタジオのWebページをみてみたら、
躯体のみの写真と、内装を施した写真とをじっくり対比して見ることができて、
少しイメージがついた。
単に壁にタイルや壁紙を貼る、設備を入れるというだけでなく、
階段、ロフトのようになった寝室なども設けられていたりして、
内装の力は想像以上で驚いた。
 
個人の住宅で、しかも新築。
そういうものでこうした手法を選択することはあまり一般的ではないのだろうけれど、
放送作家である建主が表現したいものを自由に形にするのに、
これが最適な方法だったのだろう。
各部屋のコンセプトを楽しげに語るご主人さまは、本当に楽しげ。
そして、各部屋はすごく劇的で面白い。
こういう家づくり、部屋づくりもあるのだなと、とても興味深かった。
            ◇ ◇ ◇
 
特に素敵だなあと感嘆したのは、仕事室と浴室。
 
地下に設けられた仕事室は、試写もできるようなスペースもある広々とした空間だった。
その一角、4段高くなった踊り場のようなスペースには「社長席」がある。
社長席からは、仕事室をすっかり見通せて、
そしてその席の背後の窓からは、石張りの雰囲気のある石張りの壁と
地上へと続く外螺旋階段、そして地上からの光を楽しめる。
地下であるというその籠った感じと、地上の光と風がするすると降りてくるような感じが
すごくよかった。
ちょっと変わった形状の浴室はまた、幻想的だった。
天然石張りの床とタイル張りの壁、光の入り方がとても雰囲気がある。
 
ムーランルージュの楽屋をイメージしたという仕度部屋は、
どうも湿気がこもりそうで、あらゆるものがカビそうだな、
と心配になったのだけれども、さて大丈夫だろうか。
 
            ◇ ◇ ◇
 
インテリアの枠を超えて、内装(インフェル)を自分に合ったものに、ということは、
様々な事情が相まって、日本ではまだ(?)あまり一般的ではないかもしれないけれど、
これが、いい形で馴染みのあるものになったら、家づくりも随分変わるのだろう。
使い捨てみたいな建てものでなくて、丁寧にしっかりと作られたお家を
家族が、また別の人が住み繋ぐということや、自分スタイルに建てものをカスタマイズする
ということがもっと身近で楽しいものになったら、すごく素敵だと思う。
 
我が家もそろそろお家をと思っている中で、
中古住宅をリノベーション、ということにも少し興味を持っている。
その可能性をも、もっといろいろ見てみたいとも思った。 
なにはともあれ、このお家みたいに、すっかり楽しみたい。