渡辺篤史の建もの探訪ー家の中が家型になった家(西村嘉哲 西村幸希、西村幸希建築設計)

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感想: 

つるし雛と親王飾り。
小さな和室から我が家の奮闘ぶりは見守られている。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「家の中が家型になった家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/4
素敵な時間が流れる建ものだ。
 
            ◇ ◇ ◇
 
カフェか、お店か。
散歩中にこのお家をみつけたら、そう考えて入りたくなると思う。
中に入って、玄関ホールを兼ねたギャラリーをゆっくりと通り抜け、
突き当たりの窓からの景色に感嘆してから、窓辺べの席に腰掛けて、
カフェラテをひとつ、お願いします、と言いたい。
たっぷりのカフェラテと焼きたてのパン。
ホッと空腹を満たす、考え事をする、読書をする、ぐっと集中して勉強する、、、。
人を待つ、とめどなくおしゃべりをする、ぽつりぽつりと感想を交わす、、、、。
気に入ったカフェで過ごすような一場面。
このお家での、そんな丁寧に過ごす時間のことを、
どんどん思い浮かべることができる。
そういう空間だった。
 
カフェか、お店か。
この雰囲気はなんだろう?
あれこれ考えてみたけれど、心地よい緊張感ということではないだろうか。
美しくあろう、楽しくあろう、きちんとした時間を過ごす空間であろう、
という思いや気配りが、静かに、そしてしっかりと張り巡らされているのだ。
気取ったり、張りつめるような緊張感ではなくて、
家族に、お客さまに、食事に、道具に、丁寧に向き合おうとする緊張感。
肩の力を抜いて、ゆったり深呼吸して気持ちがいいと感じられるような凛とした空気。
そういうものがすごく感じられる建もの、そしてご家族の暮らしぶりだと感じた。
 
            ◇ ◇ ◇
 
この建ものの雰囲気の秘密をさぐるべく、番組の後、
設計を担当した西村幸希建築設計のWebページをも楽しんだ。
西村氏のお仕事、そしてページで私たちに伝えようと選ばれた言葉は、
とても真摯で、そして今回の建ものに対して感じたような
心地よい緊張感をまとっていた。
美しい写真に簡潔で気持ちのよい文が添えられたブログも、
西村氏の感性がぎゅっと押込められたようで、とても素敵だと思った。
http://www.nishimura.co/nishimurayuki/Blog/Blog.html
 
”、、、それは、「よい建築」というより、「よい時間」を提供する感覚です。”
西村氏の言葉は、この建ものからよく感じ取れる。
 
             ◇ ◇ ◇
 
この建ものは、眺望がとても印象的だった。
窓から広がる緑、緑、緑!
家型の窓から見渡せる緑、緑、緑!
 
やっぱり、窓からの眺めがいいところに住みたいね、
と、一緒にみていた夫と感嘆した。