渡辺篤史の建もの探訪ー自由に回遊できる9坪の家(中辻正明 中辻雅江、中辻正明・都市建築研究所)

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感想: 

寒仕込みをする味噌。
あちこちで「味噌作り」の文字を目にするものだから、つられて私も仕込んでみた。
スーパーに行けばいつでもお味噌も梅干しも梅酒も買える。
だから今の時代、こうした季節の仕事はひとつの娯楽みたいなものだけれど、
季節の楽しみを仕込んで待つ、こういうことで暮らしを作ってゆくのは、
なかなか豊かなことだと思う。
何しろ湿気が気に住まいでのこと。カビが生えてもご一興。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「自由に回遊できる9坪の家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/3
色合いが印象的なお家。
 
            ◇ ◇ ◇
 
小さな女の子二人の鮮やかなピンクのワンピース姿が、何より先に目にとまって、心に残った。
ちょっと大人っぽくて、ビビットで、深みのある色。
小さな女の子がそんな色を元気に着こなして、お家の中を走り回っている。
その可愛いワンピースがよく似合うお家だと思った。
 
ワンピースだけではない。
ここにお住まいのご家族が選ばれた物たちの形や色が、この建ものによく馴染んでいて、
とっても印象的なのだ。
ダークグレーの壁に、ルノーの黄色い車。
真っ白な洗面所に、ご主人が選ばれたグリーンの大きな洗面器。
鮮やかで柔らかいピンクの子供部屋の壁に、子供たち。
総ステンレス製のピカピカアイランドキッチンに、おひげが素敵なご主人。
1階にある寝室の掃き出し窓から担ぎ出されるサーフボード、、、。
 
なるほど、ファッション関係のお仕事という。
好きな雰囲気、好きな色、自分達のスタイル、
そういうものがとてもしっかりしていて、「細川家」という大きなひとつのものとして
素敵に調和がとれていた。
  
            ◇ ◇ ◇
 
もうひとつ、印象的だったのはベランダ。
ベランダといっても、椅子やテーブルを置けるような広々としたものではなく、
失礼を承知でしっくりする言葉を探せば、外通路、とでも言えると思う。
ご主人は、そんなベランダを、
ここでは、本も読めるし、お昼寝もできるし、バーベキューをしたっていいし、
と、それは楽しそうに紹介されていた。
 
グレーチングになっているベランダの床は、リビングのフローリングと段差なし。
風が抜ける縁側のような存在なのかもしれない。
外と繋がる、外を取り込む、ということが本当に暮らしを豊かにするのだなと、
改めて感じた。
 
土のある庭でなくたっていい、広いテラスでなくたっていい。
こんなちょっとしたベランダで、十二分に楽しめるのだ。
私も、もっとベランダを楽しんでみようと思う。
温かくなったら、、、ね。