渡辺篤史の建もの探訪ー雑木林の庭とつながる家(新井崇文、 島田貴史・新井アトリエ一級建築士事務所、しまだ設計室)

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感想: 

この時期になると、ずらりと見事な菊が並ぶお家がある。
前を通るたびに足をとめ、しばし見入る。
雑木林、野原、そこに生える素朴な植物たちも素敵だけれど、
仕立てられ魅力を引き出された花や木の、その存在感や美しさにも、
やっぱり感嘆する。
 
             ◇ ◇ ◇
 
さて、今回の建ものは「雑木林の庭とつながる家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2014/32
建築家ご自身の名刺代わりのようなお家。事務所・自宅兼モデルハウス。
シンプルで、そして外との関係が本当に気持ち良さそうな建もの。
 
             ◇ ◇ ◇
 
アトリエ、台所、食堂、居間は一続き。
中庭に面した玄関の扉も食堂・居間の開口部も、ぱああ!と開け放たれていて、
縁側に面した障子を開け放つような、そんな感じだ。
和室でないのに、昔からの日本の家が持つよさをまとっている。
パタンとドアで閉じたりしない部屋と部屋の柔らかなつながり、
外を感じられる内、内の安心感が漏れ出す外、
天然の素材が作り出す、温かみのある空間、
柔軟性のある間取り。
日本の家って、こういうふうに賢く健やかなのだよなあ。
そんな余韻が心に残った。
 
            ◇ ◇ ◇
 
新井アトリエ一級建築士事務所。
この家を「モデルハウス」と位置づけている。
確かに。暮らす家族の生活スタイルや趣味趣向はなんだかさらりとしているのだ。
そういうことより、住まいづくりで大切にすること、
それを丁寧に、丁寧に盛り込んだ作品なのだと納得がいった。
「住まいづくりのコンセプト」として新井氏がWebページ挙げている5つのことを、
ひとつひとつたどりながらこの家の紹介を思い返してみると、
とてもしっくりと心に入ってきた。
この家がどういう家か、この建築家がどんな作品をつくるのか。
 
            ◇ ◇ ◇
 
 今回のタイトルは、「雑木林の庭とつながる家」。
この家づくりで大切にされたことは複数あれど、やっぱり外と家とのこの関係が
この家の一番素敵なところだと改めて思う。
「外部空間を心地よくつくる」
そう新井氏は挙げている。
内も外も合わせて建もの。
 
心細いだろうけれど、森の中に住めたらなあ、
土砂崩れがあるかもしれないけれど、山の中に住めたらなあ、
と常々思っている私。
こんな小さな雑木林だって、この建ものでの生活には存在感たっぷりだ。
こういう形での庭や自然との関係性も、なかなかいいものだなあと思った。