持ち山の木で建てた板倉工法の家 (大分県由布市森田様邸)

■自分の持ち山の木で家を建てたい

 
森田さんは
「自分の家の木を伐って住まいづくりをしたい」
と思っていました。
 
持ち山の木を使うということでハウスメーカーは無理。
 
工務店は、 業者さんと密着しすぎて、施主の立場からは建ててくれにくいと思いました。
 

 
それなら設計事務所を探そうとネットで検索していて建築家紹介サービスを知りました。 
 
このサービスを利用する前は 
「果たして持ち山の木で建てることを叶えてくれる方が現れるのか?」 
「情報が漏れることはないのか?」 
と不安がありました。 
 
しかし 
「大分県の設計士さんが 登録されていたから」 
と申し込みすることにしました。 
 
実際に利用してみると 
 
「心配無用でした。 
5名の方に名乗りを上げていただいて、大変ありがたかったです。 
持ち山の木で家を建てたいという難しい希望を叶えてくれる方を自分たちだけでは探すことは大変だったと思います。 
このサイトを利用することで短時間に会うことができました。」 
 
と言っていただきました。 
 

■設計者は頼もしい存在

 
5社の中から森田さんが選んだのは独楽・アーキワークスの藤原さんでした。

森田さんにとって藤原さんは自分たちではわからないことだらけの家作り を親身にサポートしてくれる頼もしい存在でした。
 
「持ち山の木で建てたい、生活上の希望など沢山の思いを受け止めて、家作りの長い時間を一緒に根気強く付き合っていただきました。
 
本当に感謝しています。
 
現場になかなか行けない私たちに、きちんと現場を見に行ってネットや電話で 報告してもらっていたので、とても安心できました。
 
業者さんのミスも隠さず報告してくれて、対処してもらいました。」

■カウンター・収納・家具・椅子もデザイン

 
 
5社の中から設計者に選ばれた独楽・アーキワークスの藤原さんは敷地をみた印象をこう語っています。 
 
「敷地は東と北はほぼ直線ですが、西と北側は出入のある変形の敷地です。 
 
山間部の小さな集落にあり、東側は小さな棚田になっていて、そのはるか先には田園風景が広がっています。」 
 
建築主の森田さんからの希望は 
「自分の家の木を伐って 住まいづくりをしたい」 
ということと、使う材料は自然素材を沢山使って欲しいということと、バリアフリーが主なものでした 
 
そんな敷地と希望に応えてに藤原さんは変形の敷地にあわせて出入口を設け屋根は片流れの屋根を3つ組み合わせた家を設計しました。 
 
内部は客間として限定された部屋は無く、16帖分の居間、6帖の茶の間、7.5帖分の台所、がひとつの空間となり、13帖分の寝室、6.5帖分の水周りから構成しています。

システムキッチン周りのカウンターや収納は全て家具として設計し、カウンターの椅子も一緒にデザインをして家具作家につくってもらいました。

建築主の森田さんに 
「この家で一番、気に入っているところを教えて下さい」 
と聞くと 
「自分たちの土地で育った木(自然乾燥が主の)の家に住んでいること!!」 
と答えていただきました。 
 
 

■3年弱をかけた家造り

 
 
最後に設計者からいただいた紹介文をそのまま掲載します。 
 
「『自分の家の木を伐って住まいづくりをしたい』 
これが施主から最初に頂いた条件でした。 
 
木の産地で仕事をしていますから木のことには詳しいつもりですが、『自分の家の木』となるとちょっと勝手が違います。 
 
しかし、知合いの製材所と相談をしながら、設計図に基づき必要な木材量の算出しました。 
伐採は建築予定地の近所にいらっしゃる方と施主のお父さまが行いました。 
 
2007年の11月から12月にかけてです。 
その後、2月まで山に放置し、3月はじめに製材所に搬入し製材し、12月まで製材所で自然乾燥させました。 
 
計画を始めたのは2006年11月です。 
その後、約1年かけて打合せを繰り返し設計が完了しました。 
 
この家は平屋です。 
住むのは施主ご夫妻だけですから大きな家は必要が無いことと、バリアフリーで設計をして欲しいということで平屋建てとなりました。 
 
内外共に木を沢山使うことにし、外壁のメンテナンス可能な部分は全て桧板を張り、南東側には広いウッドデッキをつくりました。 
 
内部は床は杉板のフローリングを張り、壁も出来る部分は杉板を柱と柱の間に落し込みしました。 
 
 
これは私の事務所ではサブタ工法といっていますが、一般では板倉工法といわれるものです。 
 
室内の壁の半分程度には漆喰塗りも採用しています。 
天井は無く、屋根の下地をそのまま出しています。 
 
もちろん屋根は通気層を確保し、屋根の熱が室内に進入しないように設計しています。 
これは壁も同様です。 
 
室内に沢山無垢の木を使うことと、漆喰を塗ることで調湿効果が期待できます。 
これらの材料は夏室内空気の湿気を吸収し、冬は湿気を放出し室内の湿度を1年を通じて安定させてくれます。 
 
使用した素材はシステムキッチン、システムバス、建具の一部、下地材の一部以外はほとんど自然素材を採用していて 
シックハウスとは無関係です。 
 
 
工事は2008年11月に着手し、2009年5月末に完成しました。 
木材の自然乾燥の期間は約1年.ゆっくりと乾いた木の含水率は20~30%の範囲で、木の色も自然のままです。 
 
もちろん木の持つ香りも自然のままです。 
桧は柱と土台、外壁の板に、その他は全て杉です。 
 
3年弱という長い時間を費やしましたが、田舎の風景の中で、田舎の生活をしながら家族と共に長くそこにあり続ける住まい。 
そんな温かさを感じる住まいづくりが出来たと思っています。」

設計者:
独楽・アーキワークス
〒877-0014
大分県日田市本町9-8
TEL 0973.22.8531
URL  http://www3.ocn.ne.jp/~koma00/