渡辺篤史の建もの探訪ー愛車と愛犬と空中リビング(松下慎太郎+鈴木崇志、一級建築士事務所 タスエス)

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感想: 

こうも雨が続くと、エネルギー有り余る子のお相手に、
かーさんはぐったりです。
 
             ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「愛車と愛犬と空中リビング」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/32
夫婦とワンワン、新旧2台のフィアット500のための家。
 
タスエス、タスエス、、、。
設計を担当した事務所と建築家の名前に覚えがあった。
そうそう、東京中央区に建てられた、窓が個性的に配されたお家を設計したところ。

同じアイディアのパーツは見当たらなかったけれど、
垢抜けた都会的な雰囲気は、なるほど、一緒だね。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/25
こうして続けて番組を見ていると、以前に作品を見た建築家の作品に巡り会う。
知り合いにばったり会ったような気持ちになって、ちょっと嬉しい。
 
             ◇ ◇ ◇
 
こういうふうに、愛車愛犬と暮らせたらいいなと思う。 
ご夫婦と2台のフィアット、ご夫婦と愛犬の関係は、なんだかとっても微笑ましい。
特に愛車との関係は、こんなふうだったらいいなと思った。
 
2台のフィアット。
旧型の方は、ご主人の趣味用。
上下開閉できる扉のある小さなガレージにすっぽり収まっている。
そのガレージ、扉を閉めてしまえば、本当に小さな「趣味部屋」みたい。
壁には普通の部屋と同じように好きな絵やオブジェが飾ってあったりする。
私に車の趣味はないけれど、愛車をメンテナンスしたり磨いたりする楽しみは、
私が知る、楽器を練習するのと全く同じなんだなと、その楽しさがよく理解できた。
 
新型の方は、これまた「車庫」とは言いたくないような
いい場所に収まっている。
このお家は、切妻屋根の家を2つに切り離して橋をかけ、
その橋の上がリビングとお風呂、
そしてその橋の下が、新型フィアットの居場所になっている。
この橋の下の駐車スペースの奥には、渡り廊下のような予備室があって、
車庫に面したガラス扉を全開にすれば、愛車はぐっと近く感じられる。
壁は、建物の中と同じ真っ白な丸い小さなタイルが貼られている。
橋の下の駐車スペースは、明るいテラスのような、開けた庭のような、
第二の玄関のような存在なのだ。
街に開いていて、入れば囲まれた安心感があって、光がたっぷり入って風が抜ける。
きっと、車庫、そういう意識で計画されたわけじゃないのだと思う。
こんないい場所に車が居座っているわけだけれど、
ここに車があるからもっと楽しいし、もっとお洒落だと思える。
 
              ◇ ◇ ◇
 
今回は、駐車スペースを素敵だなと思えたことが、とっても嬉しかった。
 
これまで番組で見た建物の中には、車庫が建物に組み込まれているものはいくつもあった。
車庫と玄関が隣り合ったり一体になったり、
リビングやダイニング・キッチンと隣り合わせになったりしているものもあった。
愛車を眺めるためのスペースが作られたものもあった。
でもやっぱり、玄関の顔がいまひとつ素敵じゃなかったり、
リビングやイニング・キッチンに愛車を引き込んだというよりは
薄暗い車庫の中でくつろぐ、ごはんを食べる、という雰囲気だったりした。
 
近所を歩いても、大概の家の駐車スペースは、
そのコンクリートと屋根が、建物の姿やお庭を台無しにしているようで
ちょっと寂しくなることが多い。
 
自分達の家づくりのことを考えるにつけても、
見栄えのいい駐車スペースって、どんなのかなあ、
車を楽しく身近に感じられるといいのになあとよく考える。
 
今回紹介されたご夫婦の愛車は、特別絵になる楽しい車。
だから特に「車のある家」の絵が魅力的に見えるのだろうけれど、
こういうふうに車のある暮らしを楽しめるのだ、楽しみたいなと、
とっても明るく思った。