渡辺篤史の建もの探訪ー正面が全面窓 7坪の家(吉仲昭、吉仲建築設計)
今週は、梅干しづくり。
台所は、完熟梅の甘ーい香りでいっぱい。
◇ ◇ ◇
今回の建ものは「正面が全面窓 7坪の家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/23
感情豊かな狭小住宅。
◇ ◇ ◇
とても正直に感想を書くと、
番組を見終わった時、ちょっと息苦しくてドキドキしてしまった。
私の生活力では、もう!全然!収納が足らない!!!
必要なものが上手に収められない。
使ってみよう、やってみよう、これ素敵、の衝動で物を増やせない。
私にとって、このことはすごく大きなストレスみたいだ。
トイレットペーパーを最低限のストックにしておきたくても、
個数の多いパックしか売っていなかったり、
一時的ではあっても空き箱や雑誌などの資源ゴミがあぶれてしまったり、
災害時に備えてお水や食料を蓄えておきたくても、
すっきり収められるスペースがなかなかなかったり、
味噌に梅酒に梅干しに、手作りを楽しみたいけれど、
保存場所を生み出せなかったり。
そして、思い出に、また二人目の可能性を考えて、
しばらくはとっておきたいベビー用品は、
小さな人のめまぐるしい成長に合わせて増える一方。
フードプロセッサやミキサーも使いたいけれど、
なくてもなんとかなるものは、我慢しようか。
義母から譲ってもらった美しい焼き物や漆器、季節の飾り物は、
意外とかさばる。
私は日々、こういうちまちました収納場所問題と格闘している。
もちろん、悩み工夫するからこそ、物や空間と真摯に向き合えるのだけれど、
できればこういうことに、いちいちひどく悩まずに、
そしていろいろ諦めずに暮らしたい。
そんな私だから、こういうもの、どこにしまうの?とか、
ここ、どうやって使っているの?とか、
それはもう、根掘り葉掘り、7坪の暮らしについて吉仲夫妻に尋ねたい。
教えてください。7坪に住む極意。
◇ ◇ ◇
年月を重ねて住む家としては、やっぱり窮屈さを感じたけれど、
細やかな気配りや工夫を積み重ねて作られたこのお家は、
小さくも、いろんな感情を導き出すような、豊かな建ものだなあと思った。
リビングの高い天井は、本当に素晴らしいと思う。
渡辺さんは、柔らかなカーテンの動きの美しさに感嘆していらした。
カーテンの素材による揺れ方の違いなんて、
これまであんまり考えたこともなかった。
高い天井からふうわりさらりと下りるカーテンは、とても優雅。
狭いけれど、ゆったりと、大きく流れる時間が作られたのだ。
リビングのロフトのような形である多目的室も面白い。
ここも高い天井で開放的な一方で、外から一つ奥まった安心感がある。
そして、リビングとは視覚的に空間を共有していながら
ガラスで隔てられていて、仕事にも集中できそうだ。
来客時にはダイニングとして使うというのも、
リビングでの時間とダイニングでの時間とを使い分けられて、
メリハリのある豊かな楽しい時間にできそうだ。
1階にぐっと集約されたお風呂と洗面所、洗濯場も、
工夫満載でとても落ち着いた素敵な空間だ。
美しいガラスタイル、大きなバスタブ、使いやすそうな洗面台。
毎日、ちょっと、贅沢な気分でいられる。
田舎に住んで、都会にこんな別荘が持てたら、楽しいな。