渡辺篤史の建もの探訪ー別荘気分!川沿いテラスと絵画窓の家(内田雄介、内田雄介設計室)

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感想: 

いやぁな梅雨を楽しく乗り切れるように、山アジサイの苗を買った。
鉢に移してベランダに置いて、そしていつでもよく見えるように、
障子の下半分の紙を剥がした。雪見障子みたいに。
そしてベランダの壁にすだれをタラリ。
殺風景だった小さな和室は、奥行きのある夏らしい部屋になった。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「別荘気分!川沿いテラスと絵画窓の家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/21
 
            ◇ ◇ ◇
 
安らぎという言葉に尽きるような建ものだった。
髪振り乱して奮闘したり、大勢でワイワイ騒いだり、
口喧嘩したり、ガツガツしたり、そういうことはちっとも似合わない。
そういうことにはならないのでないかと思う、優しい、静かな空間だった。
 
いろんな形の自然光が、いろんなところから差し込んでくる。
建築家の言葉「森の中で」という感覚を、正に、と感じることができる。
一日、時が刻まれていくのを、光や空気からきちんと感じ取っていく、
そういうことはすごく素敵で、そして大切なことだと思う。
別荘気分、というのは、そういうことなのだろう。
 
ともすれば、安らぎすぎて頭も体もどろどろになりそうだから、
私が住まうには、ガツガツできる仕事机と小さな畑があると、いいなあ。
 
            ◇ ◇ ◇
 
このお家の素敵なところはたくさんあるけれど、
食堂・台所と居間とを完全に分けて、それぞれゆったりした広さを贅沢に
とってあるところが、大きな魅力だと私は思う。
 
食堂も居間も、団欒を楽しむ場として一繋がりにした方が、
夕食後など、家族がみんなでひとところにいられる時間が長い気がするし、
一繋がりにした分、子供のための小さな個室を、という考え方だってあると思う。
でもこうして、分けられた食堂・台所と居間とでの時間をそれぞれに想像してみると、
それぞれの場所での時間がとても厚みのあるものになりそうだ。
 
食事を楽しむこと、音楽や会話を楽しむこと、
家事や勉強、仕事にいそしむこと、読書に没頭すること、
団欒を楽しむこと、一人の時間を満喫すること、
朝のはじまり、夜のおしまい。
そんなことを、食堂・台所と居間との空間と時間の区切りの中で
深く、ゆっくり楽しむことができると思う。
 
そういう時間と空間の使い方を大切にされたこと、すごく素敵だと思う。
 
            ◇ ◇ ◇
 
子供のためのスペースの考え方は、いつでもとても興味深い。
今回のお家のご家族には4歳の女の子がひとり。
さて、どんなお部屋かしらと楽しみにしていたのだけれど、
子供部屋は、なかった。
まだ、ないというわけでもなく、なさそうだった。
おもちゃなどもすっかり収納されているし、食卓の椅子も、もう普通の大人の椅子。
大人だけの生活と言われても納得してしまうほどに、
子供のいる生活なのだという感じがしない。
 
寝室は3人川の字で寝るに十分な大きなベッド、
遊び場としても気持ちのよいダイニングとベランダ、そしてリビング。
もう少し大きくなったら、勉強は食卓で、となるのだろうか。
ベッドを、そして寝室を分けたりするのだろうか。
または番組内では紹介のなかったけれど、納戸を部屋にすることを計画しているのだろうか。
 
子育ての場であるけれど、建築家であるご主人の仕事場、そしてモデルハウスでもあるだろう。
そういう公私のバランスの中で、よい意味で大人の空間が大切にされていると思う。
そういうお家だからこそ、家族の成長とそれに合わせた暮らしのことを
どんなふうに計画されたのか、ぜひ知りたい。