奈良の旧家改築
道路側外観全景。端から端までで一軒の家屋だが、工事対象は屋根が一段低い右半分。外観は完全保存、内部は現代の生活のためのリフォームが当初の目的であったが、老朽化が著しいことや構造的判断から、工事範囲の主な部分は改築を選択した。
「外観は元の姿を完全に残す」「孫子の代までの耐久性」「メンテナンスの容易さ」「木の姿」「完全な精度を持つ一流の仕事」などなどでした。
設計スタート以前に委託をお決め頂いていたので、特にはありません。
いわゆる「古民家改修」の例です。設計初期には、まずリフォーム(全面改修)を検討しました。しかし、骨組みの腐食が進行していたことに加え、古い民家の例に漏れず軟弱地盤による不同沈下(場所場所で程度の異なる地面の沈下)がひどく、基礎を作り替えざるを得なかったことから、改築の選択となりました。ただし、外観は「完全復元」です。
正面外観。下は改築前、上は改築後。瓦が新しくなって屋根のうねりが無くなった以外は全く同じ物に見えますが、ほぼ建て替えです。復元のための詳細な実測が大変でした。
玄関内観。左は改築前、右は改築後。土間をタイル張りとし、左側の壁をふさいで玄関を飾る床の間を新設した以外は、ほぼ昔の姿を復元。
1階。下は改築前、上は改築後。古い屋敷で過去何度もリフォームが重ねられていた内装を一新。
食堂より居間を見る。全て真壁造り(柱や梁が見える造り)とし、天井は大屋根の小屋組や野地板を現しとしている。主な材木は、土台は青森ヒバ・柱梁は国産ヒノキを用いた。
1階全景。右奥は和室・正面開口の奥は台所・天井付近の開口は2階寝室の窓。
食堂より和室を見る。最も奥は道路に面した格子窓で、その内側は書院となっている。
2階。下は改築前、上は改築後。厨子二階(古民家で天井の低い二階を呼ぶ。通常納戸にしか使われない)の、棟付近の天井の高い部分を用いて寝室を置いた。採光は天窓による。天窓は開閉し、夏の熱気を排出する機能も持っている。
正面夜景。
夜景全景。格子から漏れる光が美しい。
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