ルーバー庇(パーゴラ)は気持ちが良い。

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

リビングに連続したテラスの上に設けたルーバー庇です。
公園の園路や藤棚として親しまれているパーゴラと同じものと思っていただいて結構です。この事例では、夏場の日差しを柔らかく遮る軒の深いルーバー庇を設けることで、リビングと連続したテラスをより快適にしています。材料はアルミではなく、工場などの点検通路の床などに使用されるFRPグレーチングを使用しています。軽くて軽快な構造で日除け庇をつくることができます。つる系植物を下に配置して誘導すれば、金属のように高温にならないため、繁茂して絡まります。最終的にはリゾートのテラスのようになるでしょう。

日本の伝統建築では、夏場の日差しを遮りつつ冬の日差しを取り込む工夫として、縁側と深い軒の出が発達しましたが、性能の良いサッシが開発され、さらに和室が無くなった洋風の生活で内外の中間領域としての縁側や大きな軒の出は姿を消しつつあります。また、サッシ際に無理に「縁側風スペース」を作っている例もありますが、かえって日当たりから生活を遠ざける結果を招く結果になってしまいます。風雨はサッシでガードした上で、直射日光を避け、木漏れ日のような日差しを取り込みつつ、外部に対しても中間的で快適な環境をつくる方法として「ルーバー庇」は有効です。

ここでの意匠上の工夫は、軒の深い庇を支える鉄骨構造をルーバーの裏側に隠し、FRPグレーチングを下面に吊る納まりにすることで、平らなルーバー天井面を造り出したところにあります。

(撮影:北嶋俊治)