「キッチンから、子どもの様子が見えた方がいいですよね?」

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「キッチンから、子どもの様子が見えた方がいいですよね?」

家づくりのお話をしていると、

こんなご質問をいただくことがあります。

 

料理をしている間も、

リビングで遊んでいる子どもが見える。

 

ダイニングで宿題をしている様子も分かる。

 

何かあれば、

すぐに声をかけられる。

 

「やっぱり、キッチンからリビング全体が見渡せる方が安心ですよね。」

小さなお子さんがいるご家族では、

そんなふうに考えることも多いと思います。

 

そんなとき私は、

「そうですね。全部見えるようにしましょう。」

とは、すぐにはお答えしません。

 

まず、

「どんなときに、お子さんの様子が分かると安心ですか?」

と、お聞きしてみます。

 

まだ小さなお子さんであれば、

料理をしながらでも、

何をしているのか見えていたいことがあります。

 

転んだり、

危ないことをしたりしないか。

 

兄弟で何をしているのか。

 

そんな時期には、

キッチンからリビングが見えることが、

安心につながることもあります。

 

でも、

少し大きくなってくると、

必要な距離は変わってきます。

 

いつでも姿が見えていなくてもいい。

 

何をしているのか、

全部分からなくてもいい。

 

それでも、

「家にいるな。」

「今、二階に上がったな。」

と分かれば安心できる。

 

そんな時期もやってきます。

 

以前、ご相談いただいたご家族も、

「キッチンから子どもが見える間取りにしたいです。」

とおっしゃっていました。

 

そこで、

「どこにいるところが見えたらいいですか?」

とお聞きしました。

 

リビング。

 

ダイニング。

 

庭。

 

最初はいろいろなお話が出てきました。

 

でも、

もう少し聞いてみると、

奥様が、

「ずっと見ていたいわけではないんです。」

とおっしゃいました。

 

料理をしている間に、

子どもが帰ってきたことが分かる。

 

宿題を始めたことが、

なんとなく分かる。

 

庭へ出れば、

その気配が伝わってくる。

 

それくらいでも、

十分なのかもしれない。

 

そんな話になりました。

 

そこで見えてきたのは、

子どもの姿そのものより、何をしているかがなんとなく伝わる安心感でした。

 

家族の様子を感じる方法は、

「見る」だけではありません。

 

「ただいま」という声が聞こえる。

 

玄関が開く音がする。

 

階段を上がっていく足音がする。

 

ダイニングで鉛筆を動かしている。

 

庭から子どもの声が聞こえてくる。

 

姿は見えなくても、

それだけで、

何をしているのか分かることがあります。

 

反対に、

いつでも家族全員が見える間取りが、

落ち着かないこともあります。

 

親にも、

子どもにも、

少しだけ自分の時間が欲しいときがありますよね。

 

だから私は、

「見える」と「分かる」は、同じではないのかもしれない。

と思っています。

 

キッチンから、

リビング全体が見える。

 

それが合うご家族もいます。

 

一方で、

ダイニングだけ見えて、

リビングは少し視線から外れている。

 

階段は見えないけれど、

上り下りする音は聞こえる。

 

子ども部屋は二階だけれど、

家族の気配が完全には途切れない。

 

そんなつながり方もあります。

 

家の中には、

見える。

 

聞こえる。

 

なんとなく分かる。

 

いろいろな距離があっていいのだと思います。

 

そして、

子どもは成長します。

 

今は、

キッチンのすぐ近くで遊んでいるかもしれません。

 

数年後には、

ダイニングで宿題をするかもしれない。

 

さらにその先には、

自分の部屋で過ごす時間が増えるでしょう。

 

ずっと同じ距離でいるわけではありません。

 

だから、

今の子どもの姿だけを見て間取りを決めるのではなく、

少し先の距離まで想像してみることがあります。

 

ですから、

「キッチンから、子どもの様子が見えた方がいいですよね?」

と聞かれたとき、

私は、

どこまで分かれば、安心できますか?

と、お聞きしてみたいと思っています。

 

姿が見えていたいのか。

 

声が聞こえればいいのか。

 

帰ってきたことが分かればいいのか。

 

同じ家にいることを、

なんとなく感じられればいいのか。

 

その答えによって、

キッチンと家族の場所との関係も変わってきます。

 

いつでも全部見えることだけが、

家族のつながりではありません。

 

見えない時間があっても、どこかで気配がつながっている。

私は、お子さんの今の年齢だけでなく、これから家族の距離がどう変わっていくのかもお聞きしながら、そのご家族にちょうどいい「見え方」を一緒に考えていけたらと思っています。