「思っていたのと違う」と感じる瞬間について

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

住み始めて少し経ったころ、
こんな言葉を聞くことがあります。

 

「思っていたのと、少し違う感じがして…」

 

大きな不満ではない。

 

けれど、
どこかに小さな違和感がある。

 

その感覚に、
少し戸惑うこともあります。

 

設計の段階では、
何度もイメージを重ねてきました。

 

図面を見て、
説明を聞いて、

 

「こんな暮らしになるだろう」

 

と想像してきたはずです。

 

それでも、
実際に暮らし始めると、

 

そのイメージと
完全には重ならないことがあります。

 

光の入り方。

 

空間の広がり方。

 

音の感じ方や、
動きの流れ。

 

そうしたものは、
体験してみて初めてわかる部分でもあります。

 

また、
日々の生活は、

 

想像していた通りに
進むとは限りません。

 

少し違う使い方になったり、

 

思っていたよりも
別の場所で過ごす時間が増えたりする。

 

その中で、
「思っていたのと違う」という感覚が
生まれてくることがあります。

 

この違いは、
失敗とは限りません。

 

むしろ、
現実の暮らしが
動き始めたことで見えてきたものです。

 

想像は、
ある方向を示してくれますが、

 

実際の生活は、
そこにさまざまな要素が加わる。

 

その差が、
違和感として感じられる。

 

大切なのは、
その感覚を
そのままにしないことです。

 

どこでそう感じるのか。

 

どんなときに気になるのか。

 

それを少しずつ確かめていく。

 

すると、
使い方を変えることで
馴染んでいくこともあります。

 

時間とともに、
気にならなくなることもある。

 

あるいは、
小さな工夫で
解決できることもあります。

 

「思っていたのと違う」と感じる瞬間は、

 

設計が間違っていたというよりも、

 

暮らしが
現実として立ち上がってきた証です。

 

その違いを、
少しずつ受け止めながら、

 

自分たちなりの形へと
調整していく。

 

その過程の中で、

 

住まいは
少しずつ馴染んでいくのだと
思っています。