「前に戻る」という選択

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設計が進んでくると、
ある段階で迷いが強くなることがあります。

 

このまま進めていいのだろうか。

 

どこかに、
見落としていることがあるのではないか。

 

そう感じたとき、
多くの場合、

 

「このまま進むか」
「修正しながら進むか」

 

そのどちらかで
考えようとします。

 

けれど、
もうひとつの選択があります。

 

それは、
「前に戻る」という選択です。

 

一度決めたことを、
見直す。

 

最初の段階に、
少し戻ってみる。

 

それは、
後退のように見えるかもしれません。

 

時間が無駄になるのではないか。

 

やり直しになるのではないか。

 

そう感じることもあります。

 

けれど、
前に戻ることは、

 

必ずしも
悪いことではありません。

 

むしろ、
必要な場面があります。

 

設計は、
一方向に進み続けるものではなく、

 

行きつ戻りつしながら
整っていくものです。

 

途中で感じた違和感や不安は、

 

「どこかに戻ったほうがいい」

 

というサインであることもあります。

 

たとえば、
最初に考えていた暮らしのイメージ。

 

優先順位。

 

大切にしたい感覚。

 

それらを、
改めて見つめ直してみる。

 

すると、
今の案とのずれが
見えてくることがあります。

 

戻ることで、
遠回りになるとは限らない。

 

むしろ、
そのまま進んでしまうほうが、

 

あとから大きな修正が
必要になることもある。

 

小さな違和感のうちに、
立ち止まる。

 

必要であれば、
少し戻る。

 

その判断が、
結果として
全体を整えていきます。

 

前に戻るという選択は、

 

諦めではなく、

 

より良い形に
近づくための調整。

 

進むことだけが、
前進ではありません。

 

ときには、
一歩引くことで、

 

見えてくるものがあります。

 

その視点を持てると、

 

設計は、
より柔軟に、
そして確かなものへと
変わっていきます。

 

「前に戻る」という選択も、

 

家づくりの中では、
大切なプロセスのひとつなのだと
感じています。