最初に出てきた案が、最終案にならない理由

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最初のプランが出てきたとき、
少し安心します。

 

形が見えた。
ここから進んでいけそうだ。

 

そんな感覚。

 

けれど、
その案がそのまま
最終案になることは、
あまり多くありません。

 

何度か修正され、
少しずつ変わっていく。

 

ときには、
大きく方向が変わることもある。

 

それを見て、
不安になることがあります。

 

最初の案は
間違っていたのだろうか。

 

やり直しになっているのではないか。

 

けれど、
そうではありません。

 

最初の案は、
間違いではなく、

 

出発点です。

 

要望や条件をもとに、
いまの段階で
考えられる形を
一度置いてみる。

 

それによって、
はじめて見えてくるものがあります。

 

ここは良い。
ここは少し違う。

 

言葉だけでは
分からなかった感覚が、
具体として立ち上がる。

 

最初の案は、
答えではなく、

 

問いを明確にするための
道具でもあります。

 

実際に形になることで、
優先順位が
よりはっきりしてくる。

 

本当に大切にしたいことと、
そうでもないこと。

 

その整理が進むからこそ、
次の案が生まれる。

 

設計は、
一度で完成させるものではなく、

 

行きつ戻りつしながら
深めていくもの。

 

最初から
完璧な案が出てくることは、
ほとんどありません。

 

むしろ、
最初から整いすぎていると、

 

まだ見えていない可能性を
閉じてしまうこともある。

 

少し違和感があるからこそ、
考えが進む。

 

少し足りないからこそ、
対話が深まる。

 

最初の案は、
そのためのきっかけ。

 

だから、
変わっていくことを
否定しなくていい。

 

修正は、
後退ではなく、

 

前に進むための調整。

 

重ねていくことで、
形は少しずつ
自分たちに近づいていきます。

 

最終案は、
最初からそこにあったものではなく、

 

対話と試行錯誤の中で
見つかっていくもの。

 

その過程を
受け入れられたとき、

 

設計は、
単なる形づくりではなく、

 

納得を育てる時間へと
変わっていくのだと
感じています。