カフェ開業に必要な設計と資金計画|長く続く個人店をつくるための実務整理

カフェを開きたいと思ったとき、
最初に整えておくべきこと。
個人でカフェを開きたい。
その想いは、静かで、
けれどとても強いものだと思います。
好きなコーヒー。
好きな空間。
好きな時間の流れ。
きっと、頭の中にはすでに
理想の風景があるはずです。
けれど、設計者としていつも感じるのは、
その風景を「どうやって守るか」ということです。
カフェは、
空間をつくる仕事のようでいて、
実は「構造」をつくる仕事でもあります。
内装が美しくても、
経営の構造が重ければ、
その美しさは長く続きません。
今日は、
カフェ開業を考え始めた方に向けて、
図面を描く前に整えておきたいことを、
少し丁寧にお話ししたいと思います。
内装よりも先に、整えるものがある
カフェを始めたいと考えたとき、
多くの方がまず思い浮かべるのは、
壁の色や照明、
家具のデザインではないでしょうか。
それはおそらくは
自然なことだと思います。
空間は、夢の象徴だからです
けれど実際には、
・資金の組み立て方
・物件の見極め
・厨房の寸法
・席数と動線
・日々のオペレーション
これらが一本の線でつながっていなければ、
どれほど美しい空間でも、
どこかに無理が生まれます。
設計とは、
未来の無理を減らすこと。
私はそう考えています。
資金は「金額」よりも「構造」
「いくらあれば始められますか?」
よくいただく質問です。
けれど本当に大切なのは、
総額の大小ではありません。
大切なのは、
どのような構造で資金を組んでいるか。
開業資金は大きく三つに分かれます。
第一に、初期投資。
物件取得費、内装工事費、厨房設備、家具什器。
第二に、立ち上げ費。
ロゴ、看板、写真撮影、WEB整備など。
第三に、運転資金。
家賃、光熱費、仕入、人件費、返済、生活費。
特に重要なのは、運転資金です。
売上は、想定通りにはいきません。
開業直後の話題性が落ち着いてからが、本番です。
少なくとも半年分の固定費と生活費があれば、
焦らずに改善できます。
焦りは、空間に滲み出ます。
余裕は、空間にも接客にも現れます。
固定費は未来の重さになる
家賃は、毎月必ず出ていくお金です。
売上が上がっても下がっても、
家賃は変わりません。
理想的なのは、
売上想定の30%以内に抑えること。
奈良のような地域では、
駅前でなくても、
駐車しやすさや動線の良さが
集客に直結する場合があります。
華やかな立地よりも、
持続できる立地。
これが個人経営では特に重要です。
メニューは厨房の設計図
コーヒー特化なのか。
焼菓子も出すのか。
軽食まで広げるのか。
メニューが決まれば、
必要な設備と面積が決まります。
コーヒー特化型なら、
厨房は3〜4坪でも可能です。
動線を短く整えれば、
一人で回せます。
焼菓子を併設するなら、
オーブンと排気計画が必要になります。
軽食まで広げると、
グリストラップや強制排気など、
設備は一気に増えます。
夢を広げるほど、
構造は重くなります。
最初からすべてをやらない。
段階的に育てるという考え方もあります。
一人で回す前提で寸法を考える
個人店は、
オーナーの体力が基盤です。
厨房が広すぎる。
作業台が高すぎる。
通路が狭い。
その小さなズレが、
毎日の疲労になります。
厨房奥行は900〜1100mmが目安。
作業台高さは850〜900mm。
通路幅は最低800mm。
こうした寸法の積み重ねが、
未来の軽さをつくります。
設計は、
未来の疲労を減らす技術です。
物件は雰囲気で決めない
内見で見るべきは、
排水経路。
ダクトの通し方。
臭い。
音。
近隣との距離。
日照。
ここを誤ると、
設計以前の問題になります。
良い物件とは、
改装しやすい物件です。
情報も設計する
今は、空間と同じくらい
情報も設計が必要です。
Googleビジネスプロフィールは、
開業前から整えておく。
写真の一貫性。
カテゴリ設計。
投稿の積み重ね。
検索で見つけてもらうことは、
設計の一部になっています。
設計とは、未来を軽くすること
カフェは、
空間の仕事のようでいて、
実は人生の設計でもあります。
固定費が軽い。
動線が短い。
掃除がしやすい。
余白がある。
その積み重ねが、
長く続くという結果につながります。
図面を描く前に、
構造を整える。
それが、未来を守ります。
最後に
もし今、
物件を見始めている。
資金計画に迷いがある。
厨房寸法が定まらない。
席数で悩んでいる。
そんな段階でしたら、
設計の相談は早いほど整います。
無理な提案はいたしません
まずは、構想を言葉にするところから。
整った順序で進めると
未来は軽くなります。
やまぐち建築設計室は、
住宅だけでなく、
暮らしの質を整える設計を
大切にしています。
お店づくりも同じです。
「何を売るか」だけではなく、
「どんな時間が積み重なるか」を、
空間で支えるように。
少し立ち止まって考えてみたい
そんな方の目に、
そっと届けば幸いです。
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建築家 山口哲央
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