家づくりに迷いが生まれる理由 ― 暮らしの考え方から整える住まいの話 ―

家づくりを考え始めると、
なぜか気持ちが落ち着かなくなる。
そんな経験はありませんか。
情報はたくさんあるのに、
調べれば調べるほど判断が難しくなっていく。
間取りや性能、価格の話は進んでいるのに、
「これでいい」と思える感覚が、
どこか追いついてこない。
住まいのご相談をお受けしていると、
こうした状態の方に出会うことが少なくありません。
私は建築家として、
これまで多くの住まいづくりに関わってきました。
その中で感じているのは、
後になって
「この暮らしでよかったですね」
と話される方ほど、
特別な出来事が
あったわけではない、ということです。
むしろ、
日々の判断が穏やかで、
自分を追い込みすぎていない。
そうした小さな積み重ねが、
暮らし全体の安心感に
つながっているように感じます。
住まいは、
人生を大きく変えるための装置ではありません。
けれど、
日々の考え方や気持ちを整える
「背景」にはなり得る。
落ち着いて考えられる場所があること。
一度立ち止まれる余白があること。
外の刺激から、少し距離を取れること。
そうした空間があると、
人は判断を急がなくなります。
結果として、
無理のない選択を重ねやすくなる。
住まいが整うことで起きる変化は、
いつもとても静かです。
家づくりは、
正解を当てる作業ではないと、
私は思っています。
どんな速さで暮らしたいのか。
どんな距離感で人や物事と向き合いたいのか。
どんな日常を大切にしたいのか。
そうしたことを、
時間をかけて考えるプロセスそのものが、
暮らしの軸を整えていきます。
図面を描くことと同時に、
思考も整理されていく。
その時間を、とても大切にしています。
これまで、
「もっと早く相談すればよかった」
と言われることがあります。
けれど私は、
迷っている時間そのものにも、
意味があると思っています。
真剣に暮らしを考えているからこそ、
簡単には決められない。
その感覚は、
決して間違いではありません。
住まいを整えるという行為は、
何かを得るためではなく、
本来の感覚を取り戻すためのもの。
そう考えています。
暮らしが整うと、
人生が急に変わるわけではありません。
けれど、
振り返ったときに
「この暮らしでよかった」
と思える時間が、少しずつ増えていく。
設計とは、
その背景を整える仕事なのだと、
私は考えています。
家づくりに迷いを感じている方、
これから住まいを考え始める方へ。
間取りの前に、
暮らしの考え方から、
ゆっくり整えてみてください。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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