土地に合わせるのか、暮らしを守るのか
投稿日時:
2026-02-10 07:28
土地を見るとき、
よく耳にする考え方があります。
「この土地に、
家をうまく合わせましょう」
もちろん、
土地の形や条件を無視して
家を考えることはできません。
高低差があれば、
それなりの工夫が必要ですし、
周囲の建物や道路との関係も、
設計に大きく影響します。
ただ、
設計を続けていると、
ときどき立ち止まる瞬間があります。
それは、
「合わせすぎていないだろうか」
と感じるときです。
土地に合わせることが、
いつの間にか
目的になってしまい、
その結果、
暮らしの方が
少し窮屈になってしまう。
そんな計画を、
これまで何度か
目にしてきました。
たとえば、
土地の形に合わせた結果、
動線が複雑になったり。
眺めを優先したことで、
落ち着ける場所が
なくなってしまったり。
土地に対して
誠実であろうとするほど、
暮らしへの配慮が
後回しになることがあります。
設計の中で、
私がよく自分に問いかけるのは、
「これは、
土地に合わせているのか。
それとも、
暮らしを守っているのか」
という問いです。
土地は、
変えることができません。
でも、
その土地で
どんな暮らしを大切にするかは、
選ぶことができます。
すべてを
土地の条件に委ねてしまうと、
暮らしは
我慢の上に成り立つものに
なってしまいます。
逆に、
暮らしを守ることを
軸に据えると、
土地との付き合い方も、
少し変わって見えてきます。
無理に合わせない部分を
つくる。
あえて
距離を取るところを
残しておく。
その判断が、
結果として
長く心地よい住まいに
つながることもあります。
土地に合わせるか、
暮らしを守るか。
これは、
二者択一ではありません。
どこまで土地を受け止め、
どこから暮らしを優先するのか。
その境界線を
丁寧に引いていくことが、
設計の大切な役割だと
感じています。