話しているうちに、考えが変わっていくことについて

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打ち合わせをしていると、
最初にお話しされていた方向から、
少しずつ考えが変わっていくことがあります。

 

「やっぱり、こっちの方がいい気がする」

 

そう口にされた瞬間、
少しだけ間が生まれて、
空気がやわらかくなることがあります。

 

それは、
迷いが増えたというよりも、

むしろ、

「本音に近づいたサイン」

だと感じることが多いです。

 

最初に出てくる要望は、
頭で整理した言葉だったり、

これまで見てきた住宅のイメージだったり、

どこかで聞いた “正解らしきもの” が
混ざっていることがあります。

 

話しているうちに、
それらが少しずつほどけていって、

「そういえば、ここが気になっていて」

「本当は、こう感じていて」

と、
言葉が変わっていく。

 

それは、揺らぎではなく、
その人自身の輪郭が
はっきりしていく過程のように思えます。

 

設計の打ち合わせは、

答えを早く固める場、

ではなく、

自分の気持ちを
ゆっくりと確かめていく場

なのかもしれません。

 

だから私は、

最初の要望に
すぐに結論を合わせることよりも、

「いま、どんな気持ちで
 その言葉を選んでいるのか」

を、
静かに見つめるようにしています。

 

考えが変わることを
悪いことだとは思っていません。

 

むしろ、

時間をかけて考えた証、

丁寧に向き合った証、

そんなふうに感じています。

 

家づくりは、
最初に描いた通りに
まっすぐ進むことの方が珍しくて、

少し遠回りに見える道の中に、
大切な発見が隠れていることもあります。

 

もし、

「前と違うことを言ってしまっている気がする」

と感じても、

どうか、気にしすぎないでください。

 

話しながら
揺れ動く気持ちが、

そのまま、

あなたらしい家につながっていきます。