図面より先に、必ず聞いている話
投稿日時:
2026-01-14 08:17
家づくりの相談に来られた方から
よくこう言われます。
「まだ、図面とか要望とか
きちんと整理できていなくて……」
たぶん
「準備が整ってから来るもの」だと
思っていらっしゃるのだと思います。
でも、僕の場合は
図面のことよりも
要望の細かさよりも
もっと先に、
必ず聞いている話があります。
それは――
「これまで
どんな家で、どんな暮らし方をしてきたか」
ということです。
どんな間取りがいいのか
どんな広さが必要なのか
それよりも前に
「今まで、どんな場所で
どんな気持ちで暮らしてきたのか」
そこに
これからの家づくりの種のようなものが
隠れている気がするからです。
今の家の
好きなところ
少し
我慢しているところ
いつも
同じ場所に座ってしまう理由
無意識のうちに
避けてしまっているスペース
それは
「好み」や「こだわり」といった言葉では
説明しきれないことが多くて
言葉にしようとしても
なかなか形にならなかったりします。
でも
その断片を少しずつ拾い集めていくと
「この人にとって
安心できる距離感はどのくらいか」
とか
「どこに、落ち着く時間が必要なのか」
そういったものが
静かに浮かび上がってきます。
図面は
それからでいいんです。
形は、あとから
いくらでも描けます。
でも
暮らしの奥にある感覚は
最初に丁寧に触れておかないと
そのあと
どんなに整った間取りを描いても
どこかで
少しだけズレが生まれてしまうことがあるからです。
だから僕は
「どんな家を建てたいか」よりも
「どんな暮らしを積み重ねてきたのか」
そこから
ゆっくりお聞きしています。
うまく説明できなくても
言葉にならなくても
途切れ途切れのままで
大丈夫です。
その中にきっと
これからの家づくりに
つながっていく何かが
静かに
眠っているはずなので。