家づくりを考え始めた瞬間、なぜ不安になるのか

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家づくりを考え始めたとき、
ワクワクよりも先に、不安が出てくる方がいます。

楽しみなはずなのに、
前向きなことのはずなのに、

心のどこかで
「大丈夫かな…」とブレーキがかかる。

その気持ちを前にすると、
少し戸惑いますよね。

でも、その感覚は
とても自然なものだと、私は思っています。

 

家づくりというのは、

お金のこと

将来のこと

家族のこと

まだ見えていない暮らしのこと

いろんな要素が、
一度に目の前へ出てくる出来事です。

「家を建てる」よりも先に、

これから先、どんな暮らしを選ぶのか

という問いが
静かに突きつけられる。

だから、不安が出てきて当然なんです。

 

それでも、

「みんな楽しそうに進めているのに
自分だけ不安を感じている気がする」

そんなふうに感じてしまう方もいます。

でも、相談に来られる方とお話していると、

表には出していなくても、
心の奥では不安を抱えたまま進めている人が

実は、とても多いのだと感じます。

 

家づくりの不安は、
何かが間違っているサインではなくて、

まだ言葉になっていない気持ちが
いくつか残っているだけ

ということも少なくありません。

 

たとえば、

「本当にこの場所でいいのか」
「このタイミングでいいのか」
「ローンはやっていけるのか」

そういった現実的なこともあれば、

「この選択は、自分たちらしいだろうか」
「今より幸せになれるだろうか」

そんな、もう少し感覚的な不安もあります。

 

どちらも、無視できない感情です。

そして、どちらも
“正しい”とか“間違っている”ものではなく、

ただ、まだ整理されていないだけ

なんですよね。

 

私はよく、

「不安がある状態のまま
無理に前へ進もうとしなくてもいいですよ」

とお伝えします。

不安を消そうとするよりも、

「何に対して不安なのか」を
ゆっくり見つけていくほうが、

結果的に、安心して進めることが多いからです。

 

人は、それぞれ違う経験をしてきて、
違う価値観で暮らしています。

だから、

同じ土地を見ても
同じ間取りを見ても

感じ方は、まったく同じにはなりません。

 

家づくりの不安は、

「自分たちの物差しが、まだ見え切っていない」

そのサインでもあるように感じています。

 

もし今、

家づくりを考え始めたばかりで
少し胸がざわついているなら、

それは、

「ちゃんと向き合おうとしている証拠」

かもしれません。

 

その不安を消そうと急がずに、

少しずつ、
ゆっくりほどいていければいい。

そう思っています。