毎日暮らす住まいに、静かな非日常を。日常と非日常を重ねる思考での住まい設計の考え方。

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

非日常を設計する視点。

毎日暮らす住まいの中に、

「日常」と「非日常」を同居させるということ。

住まいとは、
人生の大半の時間を過ごす場所です。

眠り、
食べ、
語らい、
考え、

そして、
何気ない日々を、静かに積み重ねていく場所。

だからこそ本来、住まいには
人の心を整え、感情をリセットし、
次の一日へ向かわせる力が
求められているのだと、

やまぐち建築設計室では

考えています。

毎日の暮らしに、

静かな非日常を

床から天井までの大開口サッシ越しに、
シダ、雑木、紅葉、黒竹を配した

和モダンの中庭が広がるLDK。

木目天井と間接照明が、
時間帯ごとに柔らかな陰影をつくり、
グレージュのソファと
スチール脚のガラスダイニングテーブルが
空間に軽やかな抜け感を与えています。

黒い中庭塀が、
緑と光を引き締め、
室内と庭が一体となることで、
「日常の中の、静かな非日常」が

生まれます。

「快適」だけでは、

心は満たされないこともある・・・。

多くの住宅は、
「日常を快適にすること」を

目的に設計されています。

動線。
収納。
性能。
利便性。

それらは、

確かにとても大切です。

しかし一方で、
それだけでは
心が満たされきらないと

感じる瞬間があるのも事実です。

忙しさに追われ、
思考が散らかり、
気づかないうちに

呼吸が浅くなっている。

そんな日々を送る現代人にとって、
住まいの中に
「静かに整う時間」があることは、
もはや贅沢ではなく、
必要不可欠な要素だと
やまぐち建築設計室では

考えています。

やまぐち建築設計室が考える

「非日常」とは?。

目指す非日常は、
旅先のような

派手な演出ではありません。

特別な日にだけ味わう、
非現実的な空間でもありません。

毎日暮らす住まいの中で、
ふとした瞬間に、

時間の質が切り替わること。

その積み重ねによって、
日常そのものが
穏やかに整っていく状態。

それが、
住まい手さんの個性や価値観と
無理なく重なっていくこと。

そのための「非日常」を、
設計でつくろうとしています。

日常と非日常は、

対立するものではない・・・。

「非日常」と聞くと、
日常から切り離された
特別な体験を

想像される方も多いかもしれません。

しかし、

住まいにおける非日常は、
日常と断絶して

存在するものではありません。

むしろ大切なのは、
日常と非日常が、

ゆるやかにつながっていること。

朝、玄関を出る前の静かな一瞬。
夕方、光の角度が変わる時間帯。
夜、照明が落ち、音が遠のく頃。

そうした「境界の時間」に、
空間が自然と

感情を切り替えてくれる。

この積み重ねが、
暮らしの質を大きく左右します。

視界の解放・・・・・。

感情が切り替わる最初のきっかけ

非日常を感じる最初のきっかけは、
人が無意識に強く影響を受ける
「視界」にあります。

玄関を開けた瞬間、
視界が壁で止まるのか。

それとも、奥へと抜け、
光や自然の気配を感じられるのか。

その差は、
思っている以上に、

心に作用します。

人は視界が開くと、
無意識に警戒がほどけ、
呼吸が深くなります。

その状態は

「ここは安心できる場所だ」と
身体が判断している反応です。

「広い」よりも、

「抜ける」「ほどける」を・・・・・。

リビングでは、
大開口を単なる広さとして

扱うのではなく、
目線の流れそのものを設計します。

窓の高さ。
フレームの納まり。
家具の高さや色の重心。
構造ラインの見え方。

それらが揃ったとき、
視線は自然と外へ抜け、
光と影が、

静かに空間へ溶け込んでいきます。

「広い」よりも、
「抜ける」「ほどける」。

この感覚こそが、
毎日の暮らしに
非日常を忍ばせる第一歩です。

余白の美学を。

何も足さないという選択

非日常というと、
特別な素材や、豪華な装飾を
思い浮かべる方も

いらっしゃるかもしれません。

しかし、
やまぐち建築設計室が

大切にしているのは、
その逆です。

情報を減らすこと。
要素を絞ること。
そして、
語らない部分を残すこと。

余白とは、
何もない空間ではなく、
心が自由に動けるための余地。

視線を休める場所。
音が吸い込まれる静けさ。
思考を置き去りにできる間。

余白があるからこそ、
光は際立ち、
素材は深みを増し、
空間は上質な緊張感を保ちます。

土地との調和。

非日常は、土地から生まれる

どれほど完成度の高い建築であっても、
土地の声を無視すれば、
その空間は長く人に

寄り添うことができません。

風の通り方。
湿度の気配。
光の入り方。
音が吸われる静けさ。

土地には、
それぞれ固有の

「時間の流れ」があります。

建築は、
それを支配するものではなく、
受け取り、

翻訳する存在であるべきだと
考えています。

非日常は、

毎日の暮らしの中で育っていく

ここまでお伝えしてきた要素は、
どれも強い

演出ではありません。

静かで、控えめで、
しかし確実に

積み重なっていくものです。

人の心は、
刺激では癒されません。

ゆっくりとした時間。
深く呼吸できる空間。

その中で、
少しずつほどけていくものです。

毎日暮らす住まいの中で、
日常と非日常が無理なく溶け合い、
気づけば心が整っている。

それこそが、
やまぐち建築設計室が考える
本質的な非日常空間です。

これから住まいの

新築やリノベーション、
家づくりをお考えの方にとって、
この視点が、
ひとつの指針となれば幸いです。

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

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