家づくりの主役

家づくりの主役
マクロデータから2025年の家づくりを探る2稿目は、家づくりを実現した世帯のプロフィールを見て行きます。
まず多様な調査データからどの世帯を見るか、対象を絞る必要があります。
そこで今回は家づくりの多数派と思われる、三大都市圏(首都圏・中部圏・近畿圏)の一次取得層(初めて住宅取得した世帯)に注目します。
取得した住宅の種類は注文住宅、分譲戸建(建て売り)、新築分譲マンション、中古戸建・中古マンションとし、リフォームや賃貸は含みません。

まず年齢を見ると、世帯主の平均は37~42歳でした(グラフ1)。
30-35年の住宅ローンを組むなら、このあたりの年齢になるかも知れません。

世帯主の職業は会社員や団体職員が最多で公務員や会社役員も含めると、80%前後が企業や団体の勤め人です(グラフ2)。
分譲戸建・マンションと中古戸建の購入世帯は自営業者が多め。
分譲マンションの購入世帯には会社役員が多め、なども読み取れます。
とは言え取得した住宅による違いは少なく、初めて住宅取得するのは「安定した職業のある40歳」と言えそうです。

世帯収入には幅がある
世帯収入を取得住宅別に見ると、注文住宅世帯が912万円と最多、分譲マンション世帯が821万円、分譲戸建世帯が814万円でした。
注文住宅には土地を買って家を建てる場合と、建物だけを建てる場合の二種類がありますが、平均世帯収入には土地購入の別は反映しません。
厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、この年の世帯主40~49歳の平均世帯年収は740万円。
注文住宅や分譲戸建・マンションなどの新築住宅を取得した世帯は、平均年収を上回る世帯が多いことがわかります。

過去10年の推移を見ても、注文住宅世帯と分譲マンション世帯の年収は概ね、40-49歳世帯平均より高めでした(グラフ4)。
土地代・資材・人件費・経費・税金全てが高騰するなか、住宅取得に踏み切る世帯には厚い経済基盤があることがわかります。
グラフ4からはこの10年間の世帯年収の伸び率も見えてきます。
全国平均の40-49歳世帯は10年で8%程度の伸び率にとどまりますが、住宅取得した世帯はどの住宅種別でも、10~40%の伸びでした。
中でも注文住宅取得世帯は、世帯年収が10年前から40%前後大きく伸びています。
注文住宅の取得世帯は、より高収入世帯にシフトしつつあります。
グラフ:国土交通省「住宅市場動向調査」から作成

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。