猛暑と住まい

ユーザー TAM建築設計室 新井敏洋 の写真

ここ練馬区では、35℃を超える猛暑が続いています。

熱中症にならないように、エアコンをつけお過ごしください。

十年前は、「夏は風を通し涼みましょう」と言っており、都内のクライアントさんも「そうですね」とまた「扇風機だけで過ごせますね」と言っていましたが、今ではそうも言えない状況です。

そこで、猛暑についてこれからのお住いの設計やお役に立てそうなお話をします。

私どもで設計した築19年の我が家のお話しです。

我が家の間取りとともにご覧ください。

1.外部仕様

我が家の外壁はそとん壁といい多孔質のシラスの塗壁です。猛暑でも外気温と同じ温度のため下地部の蓄熱もさほどない断熱性の高さを感じます。

屋根はガルバリューム鋼板のシルバー色です。高い熱反射性があります。

蓄熱性があるので、屋根断熱、断熱裏打ち材や遮熱(断熱)シート張りも良いかと思います。

雨音の低減にもなります。

高性能の窓でも外壁に比べてはるかに断熱性に劣ります。

新築時、我が家の南側は700坪くらいの大きな駐車場でした。建蔽、容積が50/100のため、前面に家が建つと南面はほぼ日影となり、眺望もありません。

必要な窓だけを小さく配置ました。

築15年ほどてして分譲地となり住宅が建ちました。

2.日陰

炎天下の車には、車を冷やしてからでないとなかなか乗れません。

また、車の電子部品にも悪い影響を与えるようです。(炎天下に2時間ほど置いただけでシートベルトサインの不具合がおこりました。車が冷えると同時に直りました)

我が家の駐車場は建物と木の陰となり車が外気温程熱くなることはありません。

また、洗濯物を外に干す際に、日差しを受けると暑くて出入りが嫌になります。

我が家の物干し場は東向きで、出入り口が建物の陰となるため暑さの干渉地帯ができて物干しが幾分か楽に感じます。

3.木陰

練馬区で開発行為を行うときには、緑化が必要になります。

我が家の西側は400坪ほどの生産緑地で、キャベツやトウモロコシを栽培しておりました。窓越しに購入する楽しみもありました。

7年前に4階建ての1階が介護施の共同住宅となりました。

私ども側が3階を超える建物の出来ない、一低層のため、建物は20m程離れ住まいの前が緑地化の計画となり、私どもの2階のリビング窓の目隠しになるシマトネリコを私どもが植え、管理するということとなりました。

緑は木陰をつくるだけでなく、見て楽しみ、植物の蒸散による冷却で窓廻りを冷やしてくれます。

4.窓シャッター

我が家は2階リビングです。

1階は寝室となり、防犯、夜間通風などを考え堅牢な窓シャッターをつけました。

最近では真夏の西日除けとして活躍しています。

5.木製ブラインド

朝日や夕日はかなりの熱を持っています。

夜は東側のブラインドを閉じ、昼には西側のブラインドを閉じます

6.日除

トップライトで明るい洗面所は寝起きの体にエネルギーを与えてくれます。

北側斜線で手の届くところに天井があるため、安価な簾を加工し日除けとしております。

庇は大切な日除けです、境界までの距離が少なくあまり出せませんが、20~30cm程でも十分な日除けとなります。(重力換気写真参照)

7.重力換気

今年は7月の梅雨の時期に夏季休業としました。

長期留守としたため猛暑の影響で室内は蓄熱されていたため、エアコン、扇風機とともに下階より2階の高窓への重力換気を行いました。

多少の熱気の抜けを感じることができます。

高窓のあるロフトの換気のため下でチエーン操作が出来るようにしています。

開閉の確認は窓を開けて直接見るか、チェーンの印で判断します。

以前、アパート住まいでロフト階に衣類を吊るしておいて(寝室でした)シルクの衣類にシミが出来てしましました。留守中の温度が高温になったからと思います。

8.全館空調
30坪ほどの住まいで1階仕事場(祖母室は現在打合せ室)、1,2階住まいとしています。

ドアのほとんどない住まいです。

猛暑日は1階仕事室と2階リビングのエアコンをつけ、洗面、トイレなど隅々に冷気がいきわたるように扇風機で送風をしています。

冷気が室内にいきわたると身動きがとても楽です。

これは、床暖房の際にも感じることです。

今回ホームページの「住まいづくりの考え方」を修正しました。

高断熱、高気密、全館空調など猛暑対策、快適な住まいとして言われますが、

やはり住まう人の生活スタイルや住まいの建つ環境をよく考え、相談していくことが大事だと感じております。