都市に木を。都心に立つ小さな焼杉の建物

ユーザー アーキネットデザインLLC 市川均 の写真

藤沢駅から近い商業エリアのちょっと路地に入った裏に佇む小さな焼杉カフェです。首都圏の駅近くはほとんど防火規制がかかっています。以前はこの様な防火地域では木を外壁に張ることは規制されていました。しかし、今では一定の防火性能を持った木の張り方が開発され張りことが出来ます。ただ、まだまだ建築家にもあまり知られていません。ここでは、安価なこと、燃えにくいこと、維持管理が楽なこと、と理由焼杉を採用しましたが、他にも色々な木の外装があります。
都会のビルが建ち並ぶ大通りの裏路地に、こんな小さな木の建物が少しずつでも増えてゆくことを願いたい。
いち建築家として、一つ一つでも。

それに対して、弊社が企画提案するコストを訴求する小さな木の家『1、5階建て住宅』でカフェにすることをご提案しました。この企画は、安普請な仕様ではなく、本物の木の家仕様です。無垢の杉桧を長ホゾ込み栓の軸組工法で組み上げ、無垢板の床で仕上げたハイスペック仕様の建物です。なぜこれがローコストで出来るのかというと構造体を極力見せる代わりにクロスや塗装などのいわゆる内装がないのでコストが抑えられています。ちょっと乱暴な言い方ですが、コンクリートの打ち放しならぬ木のやりっ放し仕上げです。それとこの様な建物は昔ながらの腕の良い小さな工務店にピッタリな工事であることもコストが抑えられている大きな理由です。ちなみに今回も壁の漆喰は建主様がご自身で塗ることで内装費用を抑えました。

内部も木材と漆喰のシンプルな空間です。

内部にも木がたくさん用いられています。床は杉の厚板、カウンターなどは米杉、天井はTJIという木質I型ビームの構造材表しです。これは建築家でも知らない人が多いと思います。
このようなシンプルな建物はコストを訴求することにも繋がり、びっくりするほど安価な工事費です。ただ、昔ながらの技術力のある大工、工務店でないと施工できないことが残念です。

外部はほとんど木材です。

外部にも木がたくさん用いられています。外壁は焼杉です。関東では珍しいですが、なんと焼いていない杉板より安いんです。理由はお問い合わせください。外部テラスの床は栗の厚板、パーゴラは米杉、外部のドアも米杉です。最近では外部に本物の木を使うことは珍しいと思われますが、弊社ではこれが当たり前です。全てと言って良いくらい、外壁は木か漆喰です。

内装は、木と窓と壁下地は大工さんが施工し、建主さんが漆喰を塗る。こんなシンプルな建物の造り方をすることで工事は驚くほど安くなります。
また、北向きのこの空間、直接日光が差し込むことはほとんどありませんが、見ての通り室内はとても明るいです。これは、北側の天空の明かりが大きな窓から注ぎ込むからです。多くの方が、明るさの元が日当たり(直射日光)だとお考えですが、それは誤りです。直射日光がなくても晴れた空(天空)はとても明るいです。また、大きな窓は直射日光で暑くなってしまったり眩しかったりが大きな欠点で南や西向きには不都合が多いです。しかし、この様に北向きの窓は思い切って大きく出来ます。また、北向きの窓から見える景色は順光で美しいのも北向き建物の醍醐味です。