ガレージハウスの設計

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

ガレージハウスとは、いわゆる自動車を止めて置くための駐車スペース(ガレージ)が建物に組み込まれている家のことで、ビルトインガレージやインナーガレージ、オープンガレージなどがあり、家とガレージをひとつの建物とする住まいの考え方と言えるでしょう。

ガレージハウスを希望される建て主さんは、もちろん所有している自家用車を風雨から守りたい、雨の日でも傘をささずに車の乗り降りがしたいといった理由をお持ちでしょう。
ビルトインガレージやインナーガレージを希望される方は、さらに車のセキュリティをお考えのことと思います。
また、愛車を室内に居ながら眺めたいという建て主さんもいらっしゃることでしょう。
ビルトインやインナーガレージは屋根と壁に囲まれた駐車スペースで、シャッターを設置すれば外部から駐車している車の様子はわかりません。

一方で、建築基準法では、自動車車庫等の床面積は延床面積の1/5を限度として延べ面積に算入されないという緩和規定があることも、ガレージハウスを希望される建て主さんの理由のひとつかも知れません。

ただし、ガレージハウスを設計する場合、最も重要な点は構造です。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合はそれほど重要な問題ではありませんが、木造(軸組在来工法)でガレージハウスを設計する場合、ガレージの配置とガレージ上部にスペースが載るかどうかで、構造が大きく異なります。

車1台分の駐車スペースは、人の乗り降り等のスペースを考慮すると、間口は3メートル、奥行きは6メートル程度(18平米で約5坪)が必要です。
この広さは約10帖とかなりのスペースで、しかも柱の無い空間です。
車2台分となるとその倍近くになります。

ガレージ部分の四方のうち、車の出し入れをする一方には壁が無いので、残り三方で壁量を確保し、間口方向には構造上必要な太い梁を架けることになり、ガレージ部分の上に居室等の内部空間が載る場合には、さらに詳しい構造の検討を行わなければなりません。

また、ビルトインやインナーガレージの場合、換気設備や照明設備も必要になってきます。

したがって、ガレージハウスを希望される場合には、全体の予算を念頭に入れつつ、まずどういうガレージにして構造をどうするのか、をじっくり検討することが大切だと思います。