旗竿地の間取り

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

旗竿地とは、字のごとく道路に面した幅の狭い竿状の土地とその奥に旗状の土地を合わせた形状の敷地をそのかたちから「はたざおち」または「敷地延長」と言います。

これら旗竿地の多くは、広大な土地を宅地開発により適度な広さに分割した際に生まれ、旗竿地は道路に面した幅の狭い竿状部分を除いてほぼ四方隣家に囲まれるような敷地環境となります。 

そのため、旗竿地で住宅を設計する場合、間取りについて念頭に置くべきことがいくつかあります。

一つ目は、玄関の位置です。

旗竿地の場合、玄関の位置は必然的に道路から接続する竿状敷地の近くになりますが、セキュリティを考慮すると、道路から玄関ドアが直接見えないようなプランが良いと思います。

二つ目は、家族全員で過ごすための空間であるLDKの位置です。

家族の年齢や生活スタイルなどにもよりますが、旗状敷地に余裕がある場合には1階にLDKを持ってきて中庭に面するプランであれば採光と通風が確保出来て良いでしょうが、そうでない場合には2階にLDKを配置して1階に主寝室、子供室といったプライベートスペースを持ってくるプランが宜しいと思います。

三つ目は、浴室や洗面脱衣室といった水廻りの位置です。

給排水の配管は道路から敷地内に引き込むため、通常の土地に比べて旗竿地では配管距離がどうしても長くなってしまうため、給排水設備工事費が余計にかかってしまいます。

したがって、間取りを考える上では、浴室、洗面脱衣室、トイレ、キッチンなどといった水廻り設備は、出来るだけ竿状の土地側に寄せた配置とし、道路からの配管距離を短くするようにしたほうが良いでしょう。

私が以前設計監理をした旗竿地の住宅では、上記の三つの点を全て取り入れた間取りにしました。

写真は道路から撮った外観ですが、玄関ドアは直接見えません。

また東南に比較的広い中庭を設けられたので、1階にLDKを配置しても採光と通風が確保出来ました。

さらに正面に見える平屋部分が水廻りで、浴室と洗面脱衣室が並んでいます。