経験はモノを言うか

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

「経験がものを言うんだよ」
どのような業界においてもよく聞かれる言葉です。また、多くの人がそのように思っていることでもあるでしょう。でも、ちょっと待っていただきたいと思うのです。
たとえば、芸術の世界、あるいは芸能の世界では、そのようなことよりも才能やそれに取り組む姿勢や情熱がよい結果を招くことがとても多いことに気づきます。
誰にでも初めて直面したり経験することがあります。そのようなときにどのような判断をするかということが、その結果の良し悪しに大きく影響します。ビギナーズラックなどという言葉もよく聞きます。その判断に際してベテランあるいは豊富な経験を持つ人たちは「その判断するということに経験がものをいうのだよ」と言われるかもしれませんが、その経験が誤った道を選択するということが多いのもよく見かけることです。
建築においても、設計や施工であらためて考えてみると、経験がものをいう場面もあるけれどそれに対する情熱の持ちようの強さに勝るものはないことはよく経験することです。高名な建築家が設計したものには、その事務所の一番若いスタッフが設計したというものも多くあります。初めて直面した工法や経験のない素材での施工などでも、勉強家の施工業者はなんども経験したという施工業者より良い仕事をすることがあります。
このようなことも考えて、設計者や施工者を選択するとまた違った世界が開けてきます。