コートハウスの間取り

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

コートハウスとは建築物や塀、壁などで囲まれた中庭のある住宅のことで、平面(プラン)的には、ロの字型プラン、コの字型プラン、Lの字型プランなどと呼ばれているものがあります。
(※中庭のことを、「コート」または「パティオ」と言います。)

中庭は外部に対して閉鎖的な空間であるため、外部からの視線を遮ることが出来て防犯(セキュリティ)上のメリットがありますし、さらにプライバシーを確保してプライベートな半屋外の空間として利用が可能なので、住まいの内部と外部とが一体となって広く感じられます。

また、中庭は土のままにする場合もあるが、たいていは木製のデッキ敷きやタイル、石貼りやモルタル仕上げなどにして植栽することが多いです。
そして植栽の種類も庭の位置(方位)によって常緑樹や落葉樹を使い分けて配置します。
さらに中庭に面して設けられた開口部を介して採光や通風を確保できるため、中庭を通して明るく開放的な住まいが実現できるといった利点もあります。

つまり、中庭という外部空間を内部空間と同じレベルで意識的に作った「内部空間の延長」という考え方です。
中庭は植栽を眺めるだけでなく、イスやテーブルを置いて読書をしたりお茶を飲んだりと、生活の一部として活用できます。

さらにコートハウスが優れていると感じることのひとつに「家の中にいながら自分の家を見ることができる」という点が挙げられます。
中庭を囲むように建築物が建っているので、普通の住宅よりも距離感、奥行き感があります。

対角線としての空間の広がりがあり、中庭を介して空間から空間、つまり室内に居ながら自分の家を眺めることができるなんて素敵なことではないですか?

しかし、メリットだけではありません。
コートハウスのデメリットについて言いますと、コートハウスは中庭を囲むようなL字型、コの字型、ロの字型などといった凹凸のプランであるため塀を含めた外壁面積が多くなり、その分建設コストが高くなります。 

中庭部分の床(木製デッキ敷き、タイル貼りなど)と樹木などといった外構工事費が住宅本体工事費とは別にかかる点と、住まわれてから中庭部分の床のメンテナンスや樹木の剪定などが定期的なお手入れ必要となります。 
中庭に面する窓(サッシ)は採光や通風を確保するために大きくなるので、ガラス拭きなどの日頃のお手入れも多少たいへんかも知れません。

それでも私は、中庭のある家、つまりコートハウスは住宅地におけるひとつの有効な住まい方だと考えます。