二世帯住宅の間取り

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

二世帯住宅を設計する上で、敷地の広さによって間取りが大きく異なります。 

敷地に余裕がある場合には、中庭などを挟んで親世帯と子世帯を横に並べる間取りが理想的ではないでしょうか。 

ただし、このようなケースはむしろ稀で、ほとんどの場合二世帯住宅は、親世帯が1階で子世帯が2階(プラス3階)という間取りになるのではないでしょうか。 

このように上下階で間取りを重ねた二世帯住宅では、注意すべき点がいくつかあります。 

まず一つ目は、音の問題。 

年齢ことを考慮して階段での移動がない1階に親世帯を、上の階に子世帯を配置することが多いと思いますが、2階の音が1階へ伝わらないように防音対策など配慮は必要です。 

二世帯住宅の設計時にこのことを建て主さんへお話すると、ほとんどの方が「親子ですし、孫たちの音は気にしませんので」とおっしゃいます。 

とはいっても、私はこのことを決して鵜呑みにはせず、防音対策は行います。 

ご両親さまにとっていくら可愛いお孫さんであっても、上階から伝わる音のこととなるとそれは全く別問題なのです。 

親世帯と子世帯とでは生活のリズムが異なりますし、体調の変化もあります。 

静かに横になって休んでいる時や身体の具合が悪く寝ている時に上階から走る音や声が聞こえてきたら、それは我慢できないでしょう。 

また、浴室、トイレ、洗面といった水廻りは、出来るだけ配置を上下階で揃えるように間取りを考えたほうが良いでしょう。このことも音の問題が関係しています。

ですので、寝室の真上に水廻りは決して配置しないことが賢明です。 

二つ目は、玄関の位置に気をつけたほうがいいと思います。 

二世帯住宅ということは、親世帯と子世帯と別々に玄関があり、当然玄関扉も二枚ありますが、私どもが設計する場合、この二つの玄関は出来るだけ横並びにはせず、互いに距離を保った位置に玄関を設けるように心掛けています。 

言い方を換えれば、道路から同時に二つの玄関扉が見えないような間取りと玄関アプローチにします。 

ここまで二世帯住宅の間取りについて書きましたが、これよりも私が重要と考える点は、住宅内部でお互いに往き来が出来るようにドアあるいは引戸を1箇所設けておくことです。 

これは、建築基準法に関係してくることなのですが、建物内部で往き来が出来ないような完全分離型の二世帯住宅は、一戸建て住宅ではなく長屋という部類に入り、法規的に一戸建て住宅より厳しくなるというのが大きな理由です。 

一方、建物内で往き来が出来る間取りであれば、一戸建て住宅という扱いとなります。 

ただし、これが3階建てになると、また別に法規的にハードルが高くなり、間取りにも制限が出てきますので、要注意です。