ペット共生住宅の計画

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私は今、チワワ1歳と暮らしています。昨年の春に12歳の天寿を全うしたチワワのことも忘れることは出来ません。今回は、犬との暮らしを日々建築目線で考えている記事をお伝えいたします。

幼年期のペットを迎える際に、部屋の中の床には、滑り止めを考慮してください。例えばフローリングのままですと、走り回って四肢の肉球がグリップできず、股関節を痛めたり頭をぶつけてしまうことが考えられます。家具の角やテーブルや椅子の脚などにぶつかることもありますので、なるべく部屋はすっきりと広くしてあげてください。できれば直線の動線を作ってあげて、おもちゃを投げて取ってくる遊びに付き合ってください。また慣れない環境でトイレが決まった場所に出来ないので、おしっこやうんちをしてしまったら、急いで拭き取ってあげてください。その場所に消臭スプレー等で、「トイレはここではありませんよ」をアピールしてあげてください。床の仕上げは滑り止めワックスを塗布するか、タイルカーペットを敷き込むかをお勧めします。
中年期の頃には、走り回る行動よりものんびりとお昼寝を楽しむペットも多いかと思います。やはり陽当たりの良い、窓際やバルコニーテラス等の空間を有効に使ってください。また部屋の中の換気も大切です。アレルギー体質のペットも少なくありませんので、必ず衛生的なお部屋を整えてください。いつも使っているクッションなども天日干ししてあげてください。
高齢・老年期になりますと、飼い主様との時間を大切にしたいと考えるようです。飼い主様のそばで寛ぐことがペットにとって最大の慶びかと考えます。もちろん床の滑り止めは必須です。死期を意識すると、ひととの距離を取ろうとします。自分の死を飼い主に見せたくないかのように、孤独な場所を探します。リビングの隅っこに中を暗くしたケージなどを用意してあげてください。トイレも指定の場所まで移動できず間に合わないこともありますので、ふき取り可能な床仕上げをお勧めします。ペットシーツを敷き詰めることもありますが、足を引っかけて転んでしまうこともあります。
建築家として、ペットと生活するとたくさんの学びがあります。それはペットの目線で考えることです。でも人の使う建物を計画するときの条件と全く一緒ですよね。お客様の目線で、お客様の立場に立って考える。ペットも飼い主様との生活が楽しくてうれしくてたまりません。ペットの一生を忘れがたい思い出となるように、後悔しない部屋づくりを計画してあげてください。
ホームセンター等の資材で、すべて賄うことが出来ます。お客様のお部屋の現状をお伝えくだされば、的確なアドバイスをさせて頂きます。どうぞお気軽にお問合せ下さい。

一級建築士事務所 株式会社クレアール 井上英勝