擁壁の検査済証がない場合の対応

ユーザー 株式会社クレアール 井上英勝 の写真

前回、擁壁のお話しをさせて頂きました。
今回は、検査済証が無い厄介な擁壁を前提にお話しいたします。

最初に、その擁壁が建築主の所有かどうかを確定確認してください。
もし、近隣の所有であった場合には、近づいて計画しないことが賢明です。
それでは建築主の所有であった場合の対処方法についてです。

長期的視点で考慮すると、安全を確認できる擁壁とすることが大事です。
まずは、思い切って既存の石積み擁壁をすべて撤去して、新しい間知石を積み上げる。この時、工作物としての新しい確認申請を行うことが出来るので、安全を確認した擁壁となります。
次に既存の石積み擁壁の表面に鉄骨フレームを添えて石積みの崩壊防止ネットで覆いかぶせることも想定できます。この場合には擁壁裏面の地盤に対し、雨水浸透状況や雨水遊水の出水状況を確認することが必須です。確認申請等の安全の確認は出来ませんが、施工業者による安全の保証は得られることと思います。
また、石積み擁壁の近接箇所に鉄筋コンクリートの耐力壁を構築することも考えられます。構造計算による確認が出来るので、このケースが多いかと考えます。

何れにしろ、過去の工作物が安全であることの立証や安全を確保するための対策を講じることを怠ってはいけません。できるだけ早期に解決するように決断し、行動に移すようにお願いいたします。