うなぎの寝床に建つ狭小住宅

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

間口が狭く奥行が長いいわゆる「うなぎの寝床」に建つ住宅は、そのほとんどが住宅密集地にあり、狭小住宅と言えるでしょう。 

道路側を除いた三方は隣家が接近しているため、採光と通風は狭小住宅といえばなおさら工夫が必要です。 

建ぺい率に算入されない中庭や坪庭といった屋外空間をプランに取り入れ、光の井戸により上部から採光と通風を確保することも有効な手段です。 

また、吹き抜けや階段室といった縦空間の繋がりを利用し、トップライト(天窓)やハイサイドライト(高窓)を設けることによって採光と通風を取り入れることも有効です。 

一方、プラン全体にいえることは、家族団欒のスペースであるリビング・ダイニング・キッチンのスペースは壁等で区切らず大きな空間として使うことが多いのに対して、プライベートスペースである寝室、子供室や収納スペースである納戸やウォークインクローゼット、そして浴室、洗面脱衣室といった水周りなどは、比較的小さなスペースの集合であるため、壁で区切られているケースが多く、寝室や子供室といった居室を除いて採光や通風はそれほど重要視されないスペースです。 

そのため、1階にプライベートスペースや水周りスペースを集約し、日当たりと風通しが1階よりも期待出来る2階に大空間のリビング・ダイニング・キッチンを配置するプランが有効ではないでしょうか。 

これは、プランだけではなく、構造においても利点があります。 

上記に書きましたように、1階に小さなスペースを集約させることで、耐力壁になりうる壁量が2階よりも多く確保できるため、建物全体として下階が構造上安定します。 

これらのことは、うなぎの寝床の土地に限ったことではなく、隣家が接近している住宅密集地の狭小住宅で有効なプランニング手法といえます。