古民家再生

ユーザー 有限会社 設計処草庵 中原 賢二 の写真

大阪府羽曳野市に建つ築300年の古民家(大和棟)のフルリノベーションです。 

二度の大阪の地震で傾いていましたが、屋根の改修を終えていたため耐震改修をせずに現在の傾きを維持する方法を選択しました。所謂ピサの斜塔方式です。耐震性をあげて固めるため足元を根がらみで固め、ステンレス製の筋交いや制振ダンパーを壁内に埋込んでいます。引き抜きの掛かる部分はボルトで指示し、シロアリで腐敗している柱・梁は全て入れ替えました。 

仕上内容としては珪藻土によるたたき土間の再生、床板と天井板の全面張替え、漆喰壁の塗り直しを行いながら、ギャラリーとして蘇らせました。また拭き漆は友人の漆職人を越前より呼んで施し、奥の間は金沢に伝わる加賀群青聚楽壁風に、襖は京唐紙や銀揉み紙、腰壁には岡山で陶板を焼いてもらいなまこ壁風に配しました。 

日本の伝統工芸や技術をふんだんに現代へ生かしていくリノベーションとなっています。日本の伝統美を壊さぬように新たな息吹を吹き込んでいくためには、日々勉強が必要だと感じています。

古民家再生 おくどさん 竃さん ギャラリー 古民家リノベーション

300年前のかまどが残る古民家のリノベーションです。珪藻土のたたき土間、特別に焼いた陶板の腰、土佐漆喰の壁、上げ下げ窓などをもともとそこにあったかのように不自然なく配しています。 
古きものと新しきものの融合こそが日本文化であり伝統なのだと思います。