可分不可分

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 可分不可分という言葉はあまり聞いたことがないかもしれません。しかし、建築にあたってはとても重要な規則です。建築基準法施行令の第1条で敷地というものが定義されています。それによると、建物は原則、一つの敷地には一つの建物しか造れなくて、もし複数の建物を建築する場合には、それらが用途上不可分の関係になければならないとされています。
 これが可分不可分という言葉なのですが、具体的に解説してみましょう。たとえば住宅を造るときに茶室も造りたいとします。この場合、母屋と離れという具合に2棟に分けて建築することがあります。これは用途上不可分の関係とされ、一つの敷地内に建築可能となります。また、休息所としてのあずまやのようなものとか、温室なども許されるでしょう。これに反して、住宅の機能を持つものを2棟(例えば親の家と子供の家など)造るとしたら、敷地を分割してそれぞれの敷地に1棟ずつ建築することになります。これが可分です。建物は独立分離できるもので用途上密接な関係にはなく、敷地を分けることが必要になるというわけです。住宅の場合にはこのように、一方の建物が独立して住宅の機能を持たないことが重要な鍵となります。茶室や温室などには台所機能はないでしょうし、独立した住宅とは認識されません。そこで、用途上不可分の関係にあるのでひとつの敷地内に建築可能となります。
 ほかには学校などで、教室棟と体育館や図書館などを独立した建物で建築することがあります。これも用途上不可分の関係とみなされ、敷地を分ける必要はありません。
 実際の計画においては、行政庁に相談して確認をすることが重要になります。大丈夫と思っていきなり確認申請を提出して、これは可分であるから敷地を分割してくださいなどといわれると、とても大変な作業が発生しますのでね。