水平二世帯住宅

ユーザー 木の家プロデュース 明月社 山岸飛鳥 の写真

一般的な二世帯住宅、すなわち1階親世帯+2階子世帯の何が問題なのかというと、欲しいものがなくて、いらないものがある、ということ。

二世帯住宅というのは、嫁姑とか、マスオさんとか、とにかく世代の離れた他人同士がすぐ近くで暮らす家です。普通に考えたら、トラブってあたりまえですよね。

だから、できるだけその関係をうまく維持できるような作りにすることが、二世帯住宅の使命です。
その意味で、まず「いらないもの」は音。
上下に分かれると、どうしても2階の音は1階に筒抜けです。木造はほとんどの性能でコンクリートに負けない自信がありますが、音だけはなかなか難しい。足音もしないようにするのは困難です。

年をとると、ちょっとした物音でも目が覚めてしまう人が多いので、お互いに気を使う原因になります。
そこで、水平二世帯です。

こちらの家はL字形になっており、奥の2階建て部分と、手前の平屋部分で、二世帯に分かれています。

接している部分も、収納や階段になっているので、壁を通しての物音もあまり気にならないようなプランニングです。
手前は車いすの使用が前提だったので平屋になっていますが、親世帯=1階と決めつける必要はなく、緩やかな階段があったほうが、体の機能は衰えないという説もあります。

二世帯住宅に「いらないもの」は排除しましたが、次は「欲しいもの」です。

欲しいのは、お互いにコントロールできる接触だろうと思います。
上下に分かれてしまうと、物音だけはするけれども、目に触れることも少ないので、かえって意思疎通はしにくいということになりがちです。

このプランでは、ウッドデッキを介してL型にリビングが接しているので、普通に部屋の中で座っていれば見えないけれども、ちょっと声をかければ顔を合わせられるようになっています。

こちらが2階建て部分のリビング。

実は、ギリギリの面積で2世帯住宅にしているので、この家には玄関がありません。正面の窓が玄関兼用なのです。(外から鍵がかかるようになっています)
割り切ってしまえば、実は玄関はなくても充分に暮らせるんです。

右側の窓が 平屋部分のリビングとL型に接しています。

この奥の部屋が平屋部分のリビングで、右側の窓が2階建て部分のリビングとL型に接しています。

レースのカーテンをしていると、お互いにまったく中は見えませんし、遠慮の必要のない子どもたちは、自由に行き来しています。

こちらは2階建て部分の2階廊下ですが、これもただの廊下ではもったいないので、少しだけ広くしてアトリエになっています。

奥のガラスドアからバルコニーに出ることができます。

これは平屋部分の主寝室ですが、右上の高窓は、2階部分のバルコニーにつながっていて、意識的に声をかければ会話ができるように、あえて作ってあります。

もちろん、この窓の一番の役割は、北向きの部屋に南からのお日様を取り入れることですが。
 
こちらのお宅は敷地が広かったので、思い切った水平二世帯ができましたが、家自体の面積は二世帯住宅としては決して広いわけではありません。一般的な敷地でも、充分に検討することが可能です。
いる空間といらない空間を、施主さんが上手に判断されたことが、成功の秘訣だったのだと思います。
 
二世帯住宅をお考えの皆さん、ぜひ御検討してみて下さい。