小さい家の間取り

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 小さい家というと、思い出すのは増沢洵設計の渋谷区大山町の自邸でしょうか。48.6平米の木造2階建ての小住宅。玄関はなく、いきなり外部テラスから吹抜けのLDに入り、引違建具で仕切られた奥に寝室、2階に書斎といった作りで、緩やかな屋根勾配が構造材むき出しで天井を構成している魅力的な住宅でした。また、神宮前の東孝光設計のRCの自邸(塔の家)も有名なものです。こちらはいまだに現存していて外国からの建築家の卵と思しき若人がよく写真を撮っているのを見かけます。こちらは65.05平米の地下1階、地上5階の階段室の踊り場が居室になったような住宅で、扉はなく、すべての部屋はつながっているといった、狭小敷地での狭小住宅の典型のような住宅です。
 これらを通して言えることは、いろいろな空間がいろいろな機能、用途を兼ねている設計であるということに気が付きます。小さい家を作ることで大切なのは、このように空間を限定的な用途にしてしまわない、部屋を細かく分けないなどの工夫が必要になります。極端なことを言えば、住まいの台所は近くのコンビニといった考え方もありかもしれません。音楽室のグランドピアノの下が寝床ということもありうるかもしれません。自由な発想と思い切った断捨離の精神で小さい家を快適にすることはいくらでもあるでしょう。