珪藻土・インタビュー・(有)米戸建築工房 米戸 誠治さん


 
珪藻土とは、藻類の一種である珪藻の殻の化石が堆積した土の事です。
日本では建物の塗り壁の材料として使われてきました。
珪藻土について(有)米戸建築工房 米戸 誠治さんに伺いました。

お話を伺った建築家

 

ユーザー ❨有❩米戸建築工房 米戸 誠治 の写真
世田谷区南烏山4-23-4
03-5315-7158

 

珪藻土とはどのようなものですか?

 
調湿効果や匂いを吸着する効果がある自然素材の左官材料です。
詳しい説明は色々なサイトに掲載されていますので、そちらを参考にして頂くのが良いと思います。
 

貴社が珪藻土を手がけるきっかけがありましたら教えて下さい

 
素材の質感があり、機能的にも良い材料を使いたくて使い始めました。
最初は大手メーカーの材料を使いましたが、コストが高い事や左官材の成分等に疑問を感じていました。
 
その後、日本左官業組合連合会の理事もされている鈴木建塗工業(株)の鈴木光氏に、左官工事を依頼する機会がありました。
鈴木氏に相談する事により、左官材料の詳しい成分や情報などが明確になり、左官材に対する理解が深まりました。
いつも設計の段階から鈴木氏に相談し、左官材料を決めています。
 
原材料の産地や製造メーカー、珪藻土の混入の割合なども明確になりました。
細骨材、スサ、混和材等も毎回検討し、サンプルを製作して確認してから、工事を進められるようになりました。
 
珪藻土のメーカーには、成分を明確に表示していない物など、
信頼出来ない製品もあるので、注意する必要があります。
 

 

珪藻土以外の塗壁もおすすめの物はありますか?

 
自然素材の塗壁は珪藻土に似た機能を持っていますので、珪藻土に限らなくても良いと思います。
お客様のご要望や、必要と思われる内容に合った左官材料を使う事をおすすめします。
私の経験でも多くの左官材料を使い分けてきました。
 
例えば水廻りでは水に強い漆喰を使います。
薄い色なら顔料で着色する事も可能です。
京壁を水廻りに使う時は、樹脂を入れて耐水性を上げる事もできます。
 
ある茶室の庭の一部は京都の深草砂利を入れた三和土(タタキ)にしました。
一二三石は入っていませんが修学院離宮と同じです。

左官材料はデザイン的にも色々なアレンジができるので楽しむ事が出来ます。
細骨材にする小石、スサ、色などを工夫すれば色々な表情が出て面白いです。
 

珪藻土の価格はどれくらいですか?

 
内壁の下塗りも含んだ1㎡当たりの材工金額で、4,000円から5,000円程度です。
 

珪藻土のメリット・デメリットを教えて下さい

 
メリットは
汚れにくい、汚れても目立たない、補修できる、
調湿効果や匂いを吸着する効果がある、などです。
何よりも、質感などはクロスなどとは比較になりません。
 
デメリットは
多少コストや施工期間が掛かる、などです。
多くの面積を塗壁にするのではなく、一部分のみを塗壁にする事によりコストも時間も抑えられると思います。
 
工事全体で考えれば、大きな金額にはなりません。
工事期間も通常より数日余分にかかる程度で済む事が多いです。
 

 

珪藻土クロスと言うものがあるそうですが、一般的な珪藻土とくらべてどうなのでしょうか?

 
珪藻土クロスは材料に珪藻土が多少入っている程度で、機能的にも珪藻土とは、かけ離れていると思います。
珪藻土は機能的にも優れていますが、左官で塗る程度の厚さが無いと機能も質感も劣ります。
珪藻土クロスは表面に多少珪藻土が入っている程度ですので、あくまでクロスと考えた方が良いです。
 

珪藻土塗りをDIYでやることも可能ですか?DIYの支援などもやっていただけるのでしょうか?

 
珪藻土が入った材料を、ご自分で塗って頂く事も可能です。
支援もしますし、施工会社からコテ以外の道具は貸してもらえます。
コテは安い物をご自分で用意して頂くのが良いです。
プロが塗る左官材料と同じ成分にすると、塗りにくいので、成分をかえた方が良いです。
 

ハウスメーカーや工務店ではなく、貴社に珪藻土の家を依頼するメリットとは何ですか?

 
珪藻土に限らず、左官材料を良く知っていますので、ご要望に合った、左官材や使い方を提案できます。
また、その内容がどの様な物か、ご説明できますので安心して使って頂けます。
何が含まれているのか、良くわからない様な製品ではありません。
 

(有)米戸建築工房 米戸 誠治さんの珪藻土・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
中庭のある家

強い構造にするために、1階は頑丈な壁式構造のRC造とし、
上には軽い木造が載る混構造を採用しました。
連続した和室とDKで26帖の空間を確保、20帖近いルーフバルコニー、
木造の小屋裏を活かした高い天井とロフト、RC造で防音を確保した音楽室など、

緑と住む家

現在は3階が寝室ですが、老後は1階が寝室になる予定です。
壁面緑化も計画しています。自然素材をふんだんに取り入れ、コストダウンのために左官仕上げの壁はご自分たちで塗られました。
小さな中庭の上は光が通るグレーチングのバルコニーになっています。

欅をのぞむ二世帯住宅

段差をなくし、床下暖房で温度差をなくし寝室からサニタリーに直行できるプランになっており、老後も快適に過ごせるバリアフリー仕様です。
南側バス通りの視線と音をさえぎりながらも、光と緑をふんだんに取り込みました。

鶴見の家

「建築家紹介サービス」でご紹介して頂いたお客様(No1486)のお家です。

弦巻の家

1、2階はお母様の生活スペースとし、高齢者対応としてあります。
水まわりは広くし、床暖房を設置し、バリアフリーにしてあります。
1階に寝室のある高齢のお母様のために、階段昇降機を取り付け出来る様に設計してあります。