老後を見据えた狭小住宅・エヌスペースデザイン室 佐藤 直子さん


狭小住宅では、限られた敷地と予算の中でどこまで希望の広さや要件をかなえられるかが課題になります。
2階リビングや屋根勾配を活かした高い天井、老後を見据えた収納・水回りの配置やホームエレベーター用スペースの確保など、工夫次第で狭さを感じさせない暮らしが実現できます。
狭小住宅についてエヌスペースデザイン室 佐藤 直子さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー エヌスペースデザイン室 佐藤 直子 の写真
豊橋市牛川町字南台1-2エメラルドマンション南台701
0532-56-4128

貴社が、狭小住宅の設計を手がけるようになったきっかけを教えてください。

 
予算や敷地条件の中で、希望する要件をかなえられるのか。
工夫や設計力と、クライアントとの方向性のすり合わせが大切です。

狭さを感じさせない住まいにするために、どのような工夫をしていますか?

 
小さな部屋を作らず、将来のための子供部屋は家具で工夫する提案も。
日射取得のために2階リビングになるケースが多く、
屋根勾配を利用した高い天井により広々とした空間が実現できます。

狭小住宅で家を建てようとすると、ハウスメーカーに「この土地では希望の広さは無理」と断られてしまうケースもあると伺いました。実際にそうした相談はありますか?

 
はい。
例えば複雑な敷地要件に加え、既存住宅が建っており、
ハウスメーカーは解体、新築一辺倒。
階段だらけの3階建てになってしまうため、
今の住宅を生かせないかと相談を受けた物件はありました。
既存住宅のリノベーションという形で外周の基礎、耐力壁補強などを行いつつ、
住みやすくよみがえっています。

「狭小住宅で広く住む」の事例では、25坪という限られた敷地でビルトインガレージを確保しながら耐震補強もされていますが、優先順位をどう決めていかれたのでしょうか?

 
街中で、駐車スペースをどうしても確保したいというのが優先順位でした。
お隣がご実家で、お子さんができて手狭になったら住宅を交換してもいいとのお考えでした。

狭小住宅を検討している方から「老後、この家に住み続けられるか不安」という声を伺うことはありますか?

 
階段の上り下りを不安視される方は多いです。

「コンパクトな家を広く住む」の事例では、今はまだ使わないけれど、将来ホームエレベーターを設置できるようスペースだけ確保するという工夫をされていますね。このように「今は使わないが、将来のために場所だけ確保しておく」という発想は、どのようなきっかけで取り入れるようになったのですか?

 
ホームエレベーターについては、他のリノベ案件で何度か調べたことがありました。
とてもコンパクトな製品がそろっており、
押入やパントリースペースなどに後付けが可能です。

狭小住宅で老後の暮らしやすさを考えるとき、階段や水回りの配置についてどのような工夫をされていますか?

 
階段下を使いにくい物入にせず、洗濯機スペースとリネン庫の一部にするなど、
矩計図で高さを確認しています。
今はフリーサイズのユニットバスもでていますが、
高級ホテルライクな、洗面・トイレ・浴室とつながった在来工法の水回りも
「ゆとりある省スペース」になります。

「広い家を広く暮らす」の事例では、持ち物を減らしてシンプルに暮らせる終の棲家へとリフォームされていますが、同じ「歳を重ねてからの暮らしやすさ」を、最初から狭い敷地で家を建てる場合はどう実現できますか?

 
収納スペースをクライアント任せにせず、
ハンガー、小物入れ、引出、棚などはじめから計画します。
メーカー品やイケアなどの利用を設計段階で考えることにより、
整然としたゆとりある収納スペースができます。
一目で見渡せる収納は、物を増やさない事にもつながります。

新築時にホームエレベーターまで設置せず「スペースだけ確保しておく」という考え方は、コストの面でもメリットがありそうですね。この判断のポイントを教えてください。

 
今回の2階リビングの性質上、階段は毎日何度も使うことになります。
足腰鍛えることはヨボヨボを防ぐ事にもなるのですが、けがをしては意味がありません。
老後、施設に入る前の5~10年くらいを安心して暮らすには、
「いざとなればホームエレベーター」というお守りがあればいいと考えます。

狭小住宅で老後まで見据えた住まいを建てたいと考えている方に、アドバイスをお願いします。

 
建築費及び住宅取得費用が高騰する昨今、第一次取得層の若い方が家を建てるのは大変な時代です。
都市部では土地も建物以上のウエイトを占めるため、狭くなりがちです。
でも、設計や暮らしの工夫で、ゆったり豊かに暮らせることを知っていただければと思います。
耐震性や省エネ性能に優れ、日当たりよくパッシブで美しい住まいは、居心地よく快適です。

貴社に設計・監理を依頼できるエリアを教えてください。

 
愛知県全域、静岡県西部

エヌスペースデザイン室 佐藤 直子さんの狭小住宅・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
狭小住宅で広く住む

キッチンはトーヨーキッチンを気に入られていました。
小さいながらも屋上を設け、花火が見れるように。

コンパクトな家を広く住む

当初は中二階案も考えましたが、日照やパッシブソーラーの考え方のシミュレーションを示し、2階リビングの住まいプランを気に入っていただけました。
将来必要になればホームエレベーターを設置できるスペースや、個室をもう一つ設けうることのできるフレキシブルなプランとしました。

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