マンション大規模修繕の建築士の選び方|談合を防ぐ設計監理の頼み方

マンション
 

マンションの大規模修繕の進め方でお悩みのあなたへ

 
マンションの大規模修繕工事を控えている管理組合の役員のあなた。
あなたは下記のようなことでお悩みではありませんか?
 

  • 大規模修繕をどのようにすすめてよいかわからない
  • 大規模修繕の設計監理者を探している
  • 管理会社の見積もりが高い
  • 建築に詳しいものがいない
  • マンションの大規模修繕の設計・監理者を公募したい
  • マンションの大規模修繕の建設業者を公募するために設計図がほしい
  • 相見積もりをとったが価格だけで選んでよいのか?
  • コンサルタントや管理会社に任せきりで本当に大丈夫か心配
  • 談合のニュースを見て、自分たちのマンションの修繕が不安になった

 
2026年9月には、関東のマンション171件の大規模修繕工事で、設計コンサルタントと工事会社による談合が公正取引委員会に認定されました。
管理組合の味方のはずのコンサルタントが、工事会社の側に立っていたのです。
 
大切な修繕積立金を守るには、業者と利害関係のない建築士を最初から味方につけることが近道です。
このページでは、そのための建築士の選び方と頼み方を、事件の手口も交えてご紹介します。
 

 

マンション大規模修繕とは

 
どんな建物でも長い間には経年劣化で汚れたり、防水性能が落ちたり、外壁のタイルやモルタルが剥がれたりしてくる可能性があります。
賃貸マンションの場合は建物の所有者である大家さんが大規模修繕工事を行います。
分譲マンションの場合は入居者(区分所有者)が組織している管理組合が大規模修繕工事を行う必要があります。
 

マンションの大規模修繕

・資産価値を保つためには適切な時期に行うことが大切

 
劣化した部分をそのままにしておくと、水漏れの原因になったり、剥がれたタイルの落下などによって事故につながる可能性もあります。
例えばコンクリートに入ったヒビを放置しておくとそこから水が侵入して、内部の鉄筋を錆びさせてしまい、構造的にもダメージを与えてしまう可能性もあります。
資産価値を保つためにも適切な時期に大規模な修繕工事を行うことが必要です。
 

・分譲時は積立金の少ないマンションが多い

 
分譲マンションを販売する際には販売業者が長期修繕計画書を作成し、修繕積立金を設定しています。
しかし、分譲マンションの販売業者は修繕積立金が高過ぎると、売りにくくなってしまうので修繕積立金を安めに設定しています。
そのため、修繕積立金は長期的に見ると不足してしまう場合が多いようです。
 
実際に、国土交通省の令和5年度マンション総合調査結果では、長期修繕計画で必要とされる額に対して、現在の修繕積立金が不足しているマンションの割合は36.6%にのぼり、前回調査より1.8ポイント増えています。
 
読売新聞オンライン(2026年9月3日配信)の記事では、大阪市内の築42年・約280戸のマンションが、排水管の更新工事の際に積立金が1億円以上不足し、住宅金融支援機構から1億5,000万円を借り入れたうえで、月々の積立金を約2倍に引き上げた事例が紹介されています。このマンションの積立金は当時1戸あたり月約6,900円で、国が示す目安を大きく下回る水準でした。
 
近年は建築資材や人件費の値上がりで工事費そのものも上がっているため、「計画どおりに積み立ててきたのに足りない」というケースは今後も増えると見られています。
 

・修繕積立金が足りないと分かったら

 
大規模修繕を検討する中で、積立金が計画より不足していることが分かった場合、主な選択肢は次の3つです。
 

  • 一時金の徴収:区分所有者から不足分を一括で集める方法です。金額が大きいと合意が得られにくく、支払えない住戸が出るおそれがあります。
  • 借入:管理組合として住宅金融支援機構などから借り入れる方法です。工事は予定どおり進められますが、返済のために結局は積立金の値上げが必要になることが多いです。
  • 積立金の値上げ:月々の積立額を引き上げて計画を立て直す方法です。着手が早いほど、1戸あたりの負担は小さくて済みます。

 
どの方法をとる場合でも、まず「本当に必要な工事はどこまでか」「見積もりの金額は適正か」を、施工業者から独立した第三者の建築士に診断してもらうことが出発点になります。不要な工事を削り、工事費を適正な水準にできれば、借入や値上げの幅そのものを小さくできる可能性があります。
 
当サイトの建築家相談依頼サービスでは、マンションの大規模修繕に詳しい建築士に無料で相談できます。積立金が不足していて進め方に迷っている管理組合の方も、まずはお気軽にご相談ください。
 

 

・修繕がされてないマンションはスラム化

 
修繕がされていないマンションは下記のような悪循環に陥り、スラム化してしまう可能性があります。
 
修繕がされていない
      ↓
外観や共用部の美観が悪くなる
      ↓
経済的に余裕のある住民は引っ越してしまう
      ↓
引っ越した後に部屋を売る場合、価格が安くなる
貸す場合でも家賃は安くないと借り手がない
      ↓
あとから入った住民は最初の住民に比べて、帰属意識も低く経済的にも余裕が無い
      ↓
管理費や修繕積立金が払えない住民もでてくる
      ↓
資金が少なくなると管理や修繕が疎かになる
  

 

マンション・大規模修繕の費用

国土交通省が調査した令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査によると床面積(m2)あたり工事金額は、「1.0~1.5万円/m2」の割合が最も高く、次いで「0.5~1.0万円/m2」、「1.5~2.0万円/m2 」となっています。

これはあくまで統計的な費用であり、工事の内容・規模によって違ってくるのでご注意ください。

m2あたりの工事金額割合
0.5~1.0万円19.9%
1.0~1.5万円33.4%
1.5~2.0万円15.4%
大規模修繕工事図面

マンション大規模修繕の進め方

 
マンション大規模修繕は下記のようにすすめるといいでしょう。
 

・診断

 
出来れば建築の専門家に見てもらって、修繕する必要のある箇所をリストアップしてもらいます。
 

・修繕計画、図面作成

 
診断を元にして修繕計画を立てます。
できれば修繕する部分を明記した図面にしたほうが良いです。
 

・概算算出

 
修繕計画を元に概算を算出します。
図面があると、概算の算出もやりやすくなります。
 

・施工業者選定

 
施工業者に見積もりを取って、施工を依頼する業者を決定します。
広く建設業者を募る公募という方法を取ることもあります。
この時に設計図面を元にした見積もりだと各業者の見積内容が比較しやすいです。
 

・監理

 
監理とは施工が図面通りに行われているかどうか、また施工に問題がないかなど品質面でのチェックを行うことです。一般的に設計事務所が行います
一般的に現場監督が行う工程の調整や職人・建材の手配などは管理といいます。
 
できれば施工業者から独立した第三者の建築士に現場を監理してもらうことをオススメします。
責任施工方式の場合は現場監督が現場管理と同時に監理を行います。
 
 

・修繕計画書の作り直し

 
新築時の修繕計画書は期間が短く、予算も少なめになっています。
工事が終わったらできれば修繕計画書の作りなおしをしておくことをオススメします。
  

 

大規模修繕工事の進め方は3種類

 
大規模修繕工事の進め方は主に3種類あります。
 

  • 管理会社、コンサルタントなどにお任せする方法
  • 責任施工方式
  • 設計施工分離方式

 
それぞれの特徴を表にまとめました。
 

進め方見積もりの比べやすさ設計・監理の報酬の出どころ談合・癒着の防ぎやすさ
管理会社・コンサルタントにお任せ比べにくい工事代金に含まれていて見えにくいことが多い任せた相手と工事会社の関係が見えにくい
責任施工方式各社の提案内容がバラバラで比べにくい工事会社が設計も兼ねる工事会社をチェックする人がいない
設計施工分離方式同じ図面で見積もるので比べやすい管理組合から建築士へ建築士が工事会社から独立していれば防ぎやすい

 

管理会社・コンサルタントにお任せする方法の問題点

 
大規模修繕工事の段取りを管理会社・コンサルタントなどに依頼する方法です。
 

・管理組合役員の責任感がなくなる

 
管理会社・コンサルタントにお任せすると管理組合役員は確かに楽になりますが、その分、責任感もなくなってしまいます。
結局、よくわからないまま管理会社やコンサルタントに言いなりになってしまう可能性もあります。
自分たちのマンションは自分で管理するという気持ちを強く持つことをオススメします
 

・見積もりが高くなる場合が多い

 
あとで述べる責任施工方式や設計監理分離方式に比べると見積もりが高くなってしまう事が多いようです。
試しに見積もりをとってみて比較してみてもよいでしょう。
 

・業者との関係が見えにくい

 
任せた相手が工事会社とどんな関係にあるのか、管理組合からは見えにくいのも問題です。
2026年に明らかになった談合事件でも、管理組合が頼りにしていたコンサルタントが、裏で工事会社とつながっていました(くわしくはこのページの後半でご説明します)。
 

責任施工方式の問題点

 
管理組合が直接、建設業者などに見積もりを取って比較検討する方法です。
 

・見積もり比較がしにくい

 
素人が見積もりを依頼しても各社ごとに仕様が違っている場合もあり、あとで比較検討することが難しい場合があります
 

・安ければ良いのか?

 
そもそも仕様が違えば安くなるのは当たり前なので安ければよいのか・・・という問題があります。
 

・追加工事の可能性

 
きちんとした図面や仕様書を元にした見積もりではないので、工事の途中で追加工事が発生する可能性があります。
追加工事の費用は割高になりがちです。
 

設計施工分離方式のメリット

 
当サイトでは設計施工分離方式をおススメしています。
設計・監理を設計事務所に依頼して施工を建設業者に依頼する方法です。
 

・図面を作成して見積もるので正確

 
設計事務所が作成した図面・見積書を元に見積もりを取りますので正確で比較検討がし易いです
 

・建築士が監理を行う

 
建設業者から独立した建築士が監理を行いますので、安心です。
 

・不必要な工事はしない

 
建築士が建物を診断したあとで図面を書きますので、不必要な工事をすることがありません。
 

・ただし、建築士選びがいちばん大切

 
設計施工分離方式は、建築士が工事会社から独立していてこそ力を発揮します。
建築士(コンサルタント)が裏で工事会社とつながっていれば、この方式でも管理組合は守られません。
実際にそれが起きたのが、このあとご紹介する2026年の談合事件です。
 

 

設計施工分離方式のよくある質問

  
設計施工分離方式についてよくある質問をまとめました。
 

・高くつくのでは

 
建築士に依頼することで設計監理料が必要になります。
しかし、曖昧なまま工事費を比較するよりも、きちんとして図面・仕様書を元にして見積もり比較することで工事費を抑える効果があります。
 

・業者から手数料を取るのでは?

 
良心的な設計事務所は、妥当な設計・監理料をいただけるのであれば、業者から手数料などを取ることはしません。
ただ残念ながら、2026年9月には、設計コンサルタントが工事会社から「情報料」を受け取っていた談合事件が明らかになりました。
 
大切なのは方式そのものではなく、その建築士が誰から報酬を受け取っているかです。
このあと、事件の手口と、信頼できる建築士の見分け方をご説明します。
 
 

2026年に明らかになった大規模修繕工事の談合事件

 
2026年9月28日、公正取引委員会は、関東1都6県のマンション大規模修繕工事171件をめぐる談合を認定し、設計コンサルタント2社と工事会社40社に処分を出しました。
課徴金(違反で得た利益に応じて国に納めさせるお金)は合わせて約16億円。
マンションの大規模修繕工事で公正取引委員会が処分を出したのは、これが初めてです。
 
まず、ニュースに出てくる言葉を簡単にご説明します。
 

・入札(見積もり合わせ)とは

 
複数の会社に同じ条件で見積もりを出してもらい、比べて工事をお願いする会社を選ぶ仕組みです。
マンションの大規模修繕では「見積もり合わせ」「相見積もり」と呼ぶことが多いです。
 

・談合とは

 
見積もりに参加する会社どうしが裏で話し合い、どの会社が受注するかを先に決めてしまうことです。
ほかの会社はわざと高い金額を出したり、辞退したりします。
競争が起きないので金額は高いまま決まり、その分を修繕積立金で支払うことになります。
独占禁止法で禁止されている「不当な取引制限」にあたります。
 

・今回の談合の仕組み

 
時事通信(2026年9月28日配信)によると、手口は次のようなものでした。
 

  • 設計コンサルタントが、管理組合の予算などの外に出ない情報を、工事会社に伝えていた
  • 見積もり合わせの前に受注する会社を決め、その会社が選ばれるように誘導していた
  • 見返りに、受注した会社から受注額の約5%を「情報料」などとして受け取っていた

 
いちばんの問題は、管理組合が味方として頼んだはずの設計コンサルタントが、談合に加わっていたことです。
管理組合の役員の方が、おかしいと気づくのはとても難しかったはずです。
 
事件の詳細は公正取引委員会の発表でご確認いただけます。
 
 

設計監理方式(設計施工分離方式)は危ないの?

 
今回の事件は、管理組合が設計コンサルタントに調査・設計・工事会社選びの手伝いを頼む「設計監理方式」で起きました。
このページでおすすめしている設計施工分離方式と、同じ考え方の進め方です。
では、この方式は危ないのでしょうか?
 
答えは「方式が悪いのではなく、誰を選ぶかで決まる」です。
国土交通省も事件を受けて、設計コンサルタントの中立性を確保したうえで、適正な手続きで工事会社を選ぶことが重要だとしています(国土交通省の発表)。
 
分かれ目は、その建築士が管理組合からだけ報酬を受け取り、工事会社からは一切受け取っていないかどうかです。
とはいえ、裏で行われることを住民の方だけで見抜くのは簡単ではありません。
次のチェックリストで、気づくための手がかりをご紹介します。
 
 

談合の兆しに気づくためのチェックリスト

 
住民の方から見えること、聞けば確かめられることに絞りました。
 

□ コンサルタント料が相場より極端に安くないか

 
安い料金で仕事を取り、足りない分を工事会社からの見返りで埋める手口があるためです。
複数の建築士から報酬の見積もりを取ると、相場がわかります。
 

□ 工事会社を募る条件が厳しすぎないか

 
資本金や過去の実績などの条件を必要以上に厳しくすると、参加できる会社を絞り込めてしまいます。
 

□ 見積もりに参加する会社が少ない、または辞退が多くないか

 
談合では、受注しない会社が辞退して、形だけの競争になることがあります。
 

□ いちばん安い金額が、管理組合の予算にぴったり近すぎないか

 
今回の事件では、管理組合の予算などの情報がコンサルタントから工事会社に流れていました。
 

□ 工事会社選びの経過と理由を、書面で説明してもらっているか

 
どの会社にどう声をかけ、なぜその会社を選んだのかを、理事会に書面で説明してもらいましょう。
説明があいまいなときは注意が必要です。
 

□ 見積もりの内訳が不自然に似ていないか

 
住民の方だけでは気づきにくい部分です。
業者と利害関係のない建築士に見てもらうとよいでしょう。
 

これから契約するなら、入れておきたい約束

 

  • 設計コンサルタント(建築士)との契約に:「工事会社などから報酬を受け取らない。違反したら契約を解除できる」という一文
  • 工事会社との工事の契約に:談合があったときに違約金を支払ってもらう「談合違約金特約条項」(国土交通省も、この条項を設定できることを周知しています。入れるときは弁護士などの専門家に相談すると安心です)

 
隠れて行われれば見抜けませんが、手を出しにくくさせる効果があり、違反があったときに責任を問う根拠にもなります。
 
※ チェックリストに当てはまるからといって、それだけで談合があったとは言えません。
 

公的な相談窓口もあります

 
気になる点があるときは、国土交通省が紹介している公的な相談窓口で、マンション管理士や建築士などからアドバイスを受けることもできます。
 

 
ただし、相談窓口で受けられるのはアドバイスまでです。
建物の調査から設計、工事会社選び、工事の監理までを通して管理組合の側に立って進めるのは、管理組合が選んで依頼する建築士です。
 
談合の兆しは、住民の方だけでは気づきにくいものです。
業者と利害関係のない建築士を最初から入れておくことが、いちばんの予防になります。
 

 
 

建築士を選ぶときに聞くとよい6つの質問

 
「工事会社から報酬を受け取りますか?」と聞いても、「受け取ります」と答える人はいません。
そこで、答え方や出してくる資料で違いが見える質問をまとめました。
 

1.報酬はいくらで、なぜその金額ですか?

 
作業の量や日数から、金額の理由をきちんと説明できるかを見ます。
 

2.これまでの大規模修繕で、どの工事会社が工事をしましたか?

 
一覧を出してもらえるか、特定の会社に偏っていないかを見ます。
 

3.工事会社はどうやって集めますか?

 
公募するのか、声をかけるのか。管理組合が推薦する会社を加えてもよいかも聞いてみましょう。
 

4.工事会社を選んだ理由を、書面で出してもらえますか?

 
選んだ経過をきちんと記録に残す人かどうかがわかります。
 

5.「工事会社から報酬を受け取らない」という一文を、契約書に入れてもよいですか?

 
すんなり応じてもらえるかどうかを見ます。
 

6.以前担当したマンションの管理組合を紹介してもらえますか?

 
実際に頼んだ管理組合の声は、何よりの判断材料になります。
 
建築家相談依頼サービスに投稿すると、複数の建築家から返事が届きます。
同じ質問への答え方を比べられるので、1人に聞くだけではわからない誠実さや経験の差が見えてきます。
 

 

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次回の大規模修繕に向けた準備や、長期修繕計画(何年後にどの工事をするかの計画)の見直しを依頼できます。
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【投稿の例1:これから工事会社を選ぶ場合】
築25年・60戸のマンションです。来年度に大規模修繕を予定しています。施工会社と利害関係のない建築士に、調査・設計・工事監理をお願いしたいです。
 
【投稿の例2:すでに工事が終わった場合】
築30年・40戸のマンションです。前回の修繕はコンサルタントに任せましたが、経緯に不安が残りました。次回に向けて、長期修繕計画の見直しを建築士にお願いしたいです。
 

 

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