快適な二世帯住宅のポイント・株式会社DIGDESIGN 嶌陽一郎さん

外観

「建築家に設計を依頼するのって、ハードルが高い」って思いませんか?
そこで、東京都世田谷区に事務所を構える、株式会社DIGDESIGNの嶌 陽一郎(しま よういちろう)先生に、「家づくりの注意点」と「快適な二世帯住宅」のポイントをお伺いして来ました。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 株式会社DIGDESIGN 嶌陽一郎 の写真
世田谷区成城1-1-5成城TNビル4階
03-5727-8747

嶌先生のひととなり

嶌先生のご経歴をお伺いできますか

建築家になろうと思ったのは小学校5年生の時です。
病院の小児科で、建築のスケッチ集を読んで魅力を感じました。
専門学校で建築を学び、設計事務所を5軒経て27歳で独立し、2012年に株式会社化をしました。

先生はどんな家を建てることが多いのですか?

私が手掛けたものは、構造に木を使ったものが多いです。
それと、都心部は土地が高いので地下室が人気があるので、地下室も手掛けることが多いです。
また、私自身二世帯住宅に住んでおり、二世帯住宅をご要望の施主さんが6割くらいいらっしゃいます。
二世帯だと、親世帯の住居が和風になるので、和風によっている建築経験が豊富です。
  

相談にくる方はどんな方が多いですか?

私は土地探しのお手伝いから携わるので、土地持ちの方とゼロから土地を探す方半々くらいの割ありです。
高額な土地を購入してしまい、建築費がシビアになってしまうよりは、最初からご相談いただいて土地を購入してもらった方がやりやすいです。
土地を見に行って、気に入った土地があったら建築計画を立ててみて、それを3~4回繰り返すことが多いですね。

建築費用はどの位かける方が多いのでしょうか?

普通のお家は30坪4人家族(子ども2人)で家が3000万円、二世帯の場合には面積が1.8倍…完全一体だと1.5倍位で金額は4500万円位。
これにプラスで土地代が掛かります。
建築費に関しては、地方でもそんなに変わらないんですよ。
設計料か税金込みで2500万位でしょうか。
 
都内は土地代が高いので、ローコスト住宅や狭小住宅のニーズも多くあります。
ローコストの場合には、耐震性能と断熱材に気を配ります。
「地震に強くて暖かい」はローコストでも可能なんですよ。
床暖房や吹き抜けは贅沢ですね。
 

予算計画って難しいですよね

不動産屋さんだけだと土地しか見せてくれないですよね。
でもその一部だけ見ていると、1億円あるって意気込んでも必要経費を抜くと建物2000万円になることもあります。
怖がらずにいつかは知らなきゃいけないので、建築計画を含めたトータルで見ることが重要です。
 
私の場合、ファイナンシャルプランナーの方にお手伝いをしていただくことも多いです。
家を建てたら旅行も行けない車も乗れないとか、そんなの寂しいですよね。
ライフプランを立ててもらってから決めることが多いですね。
 
お客さんとファイナンシャルプランナーがまず話して。
「銀行は8000万円貸してくれるけど、7000万円の方が良いですね。
 ちょっと余裕をもってためておきましょう。」
という調整もしています。
 

嶌先生の手掛ける住宅のコンセプト

二世帯住宅というと、子育て中の方も多いですよね

そうですね。
自分が子育て世帯なのでその辺は凄く考えています。
単にLDKにすると、お母さんが洗い物をしているときに子どもが見られないですし、外から帰ってきた子どもの脱衣導線みたいなものも考えます。
 
また、小さい頃は水を貯めるプールをすることが多いので、屋外の日陰の空間を作ってあげる。
庭いじり・自転車の修理などにも使えるスペースとして活用できるので、「屋外の空間」も大切にしています。
軽視されがちですが、今の玄関プラス1mとるだけで凄く豊かになるんですよ。
室内を広くすると光熱費もかかりますし、バランスを考えた提案をしています。
  

スロープ

子育て中の家族に優しい工夫は他にもありますか?

「ライフスタイルの変化に対応する住まい」というのが、ひとつのポイントになると思います。
子ども部屋は、小学校4~5年から大学入学後までの10年前後しか使わないことが多いですよね。
それ以外は、倉庫になっていたりたまに帰ってきて寝るだけになるのは勿体ない。
子ども部屋を後で大きいお部屋に戻せるようにしてあげるとか、こうした計画は最初の段階でしておくことで、長く住み続ける家づくりをすることができます。

家は一生の買い物ですものね

そうです。
メンテナンスを行い、きちんと手入れをしてあげることを大切にしたいです。
だから私の会社では、リフォームでも新築でも、普通は引き渡し・1年点検で終わってしまう点検を、引き渡し後、1週間・1ヶ月・3ヶ月・半年・1年、その後毎年行っています。
その辺をHPでみて安心して問い合わせをいただく方も多いですね。

それは嬉しいサービスですね!

建築って「作って終わる」イメージがあるかもしれないですが、一生に近いお付き合いになります。
新築してから家族構成の変化でのリフォームの依頼も多いですよ。
担当者の変化はないので、ヒアリング・設計・現場・メンテナンスも全て私が担当します。
ハウスメーカーで、営業さんがどんどん変わっていくよりは安心できると思うんですよね。
新築時に予算オーバーしてテラスのデッキが作れなかったけど、3年後に作るという対応もできます。

二世帯住宅以外にどんな家づくりをしたことがありますか?

家を建てることによって広がりが生まれるお宅が多いですね。
店舗・事務所併用住宅が人気があります。
駐車場のスペースを活用して、休日だけのスタンドバータイプのコーヒーショップとか、1階に駄菓子屋さんを作って休日だけOPENするとか。
「家にすることの強み」を最大限にいかせるのが、建築家住宅の魅力だと思います。

嶌先生にお願いしたい場合、対応できる場所は限られてしまいますか?

私は国内だけではなく、メキシコとカナダで店舗を手掛けています。
ご相談くだされば対応致しますので、まずはお問合せを頂ければと思います。
件数としては関東圏が多いですね。
 
施主さんは、建築家さんの展示会やHPをみて、オープンハウスに来てくださる方が多いです。
 

建築家の先生を選ぶ際にはどんな所に注意したら良いですか?

お客さんに合わせて作っているので作風はどうにでもなると思います。
自分が一生付き合えそうな人を探したほうが良いです。
建築家の中にはいろんなタイプがいるんです。
20代で建てるなら同じ年代の人の方が良かったりするし、家族で住むなら家庭を持っている人が良いです。
 
人柄やバックボーン、うまく解釈してくれる人を探すのがポイントですね。
ツールとしてネットを使って、最後には直接あって聞くことが大切です。
先生の人柄をきちんと見極めてください。
 

ひとつの家を建てる時、どのくらい時間を掛けているのでしょうか?

私場合、無料プランニングで土地を見せてもらって要望を聞くのに2時間、2週間で建築計画をそれを見てもらって3時間。
この際には、図面だけではなく模型も作っています。
使う材料・予算計画書をたてて、間取りと予算が決まったくらいで設計の契約をすることが多いですね。
 
ヒアリングから設計契約までが3ヶ月、そこから図面完成まで6ヵ月、そこから工事で6ヵ月、完成まで1年3ヶ月は見ていた方が良いですね。
工事を急がせると手を抜かれたり仕上がりが汚くなったりする可能性もあります。
監督がスケジュールを作ってくれるので急がせないほうが良いですね。
急いでいる場合には、ヒアリングから提案までを短くしています。
 
設計期間を短くする場合には、「連絡を密に取る」が大切です。
設計期間は2週間に1度打ち合わせですが、10日などの間隔にすることで、時間を短縮することができます。
 

ヒアリングや打ち合わせはやはり対面が多いのでしょうか?

オンラインは誤解も生まれる、情報の共有に関してはメールも使いますが、基本的には対面を大切にしています。
時間を短くしたいお客さんとかは、要望や質問をメールで送ってくれるので、打ち合わせ時間をより有効にすることができます。
「次にこうしたいので」というレジュメの共有は、メールなどで行っていますね。
 

気になる二世帯住宅ポイントについて

二世帯住宅を作るうえで心がけていることはありますか?

二世帯住宅の形は色々ありますが、全員が一緒に集まるスペースを大切にしています。
ただの個人宅が集まったアパートではなく、広めのスペースをひとつ必ず作っていますね。
それがダイニングや居間になることが多いです。
 
正月に集まる部屋もないのはさみしいですよね…。
でも都心だと広い場所を確保するのが難しいので、ほんの少しでも割り振るように設計しています。
  

都内は狭いですよね。狭小住宅の二世帯住宅って可能でしょうか?

狭小住宅の二世帯住宅は、実現可能だと思います。
私の家も、6m×6mの3層で、両親と私たち夫妻、そして小1と小3の男の子が2人の計6人が住んでいます。
 

二世帯住宅って親世帯・子世帯の折り合いをつけるのが大変なイメージがあります

設計中は揉めないように誘導していますが、特に意見が折り合わない所って決まっているんです。
大きい所ですと、天井の高さの取り合いとか、面積がないのに書斎が欲しいとかいう要望は男同士で揉めますね。
 
女性の場合は、靴をどうするとかゴミを出すタイミング、ユニットバスの中にスポンジを置く棚が何段とか。
生活に密着した細かい所が気になる方が多いです。
親世帯・子世帯でヒアリングを別にして、なるべくそれぞれの要望を取り入れた形に落ち着けます。
 

特にもめるポイントってありますか?

子ども部屋の畳数ですね。
子ども部屋を北に持ってくる例が今は多いんです。
ベッドルームは今は寝るだけで、リビングで勉強をしたり遊ばせたりことが増えてきましたよね。
そうすると部屋は洋服を着替える所とベッドだけあれば良くなる。
でも、旦那さんからすると、「俺の子どもの頃は部屋が広かったから、この狭さではかわいそうじゃないか」という見方があったり。
 
正解がないので、子どもの育て方は本人のことよりもシビアですよね。
子どものためを思って言うから本気になってしまうんです。
そこをうまくオープンハウスを紹介してご説明申しあげるようにしています。
 
中学生の男の子だと布団が臭いとか現実的な問題が出てくるので、布団を干しやすいように大きな窓を作ってあげたりバルコニーに近い位置に部屋を持ってくる。
これって、オーダーだからできることなんですよね。
 

嶌先生のご自宅も二世帯住宅

嶌先生のご自宅も二世帯住宅と伺いました

配置図

↑配置図
 

間取り図

↑間取り図
 
はい。
こちらの間取りのように、地下を私たち夫婦と子ども、1階に両親の寝室が2つ、2階はLDK+デッキ(2.5×10)があります。
プランターで紫蘇やバジルを育てています。
虫が来にくいので2階にしてよかったですね。
 
子どもの部屋は現在はないのですが、上の子が小学4年生になったら、まずはカーテンで個室を作って、それからちゃんとした個室に移行しようと思っています。
高校卒業したら取っ払ってまた居間みたいなワンルームに戻すつもりです。
今は寝室ではなくセカンドリビングみたいな感じで、大きいベッドを2台並べて白い壁にプロジェクターで映画を映してみています。
子育てが終わればそれを復活させたいんです。
 

地下室

子世帯の使っている地下は外階段なんですか?

そうですね。
地下は外階段で繋がっています。
妻を迎える形だったので、居間に友達を呼ぶのではなく、地下室に直接呼べるように配慮をしました。
二世帯住宅であったとしても、別世帯として機能するのは大切だと思います。
 
二世帯ありきだったので、妻の使い勝手にはこだわりましたね…。
親と万が一トラブルがあった際に逃げられる環境を用意したんです。
喧嘩したときに逃げられる場所があるのは大切だと思っていて。
それと、友達を遠慮なく呼べるようにしてあげたかったんです。
実際に嫌ですよね…親がくつろいでいる横で、お友達とお茶を楽しむって、気を遣うじゃないですか。
 

特に工夫をなさった点をお聞かせください

階段は緩やかになっていますね。
小さい家だと急になるのですが、これって欲張るとできないんです。
地下の階段を外に出したからできる技です。
階段はつながるから上下合わせると1.5坪にもなります。
 
「何処を取って何処を捨てるか」という取捨選択ができるのが、建築家の手掛ける住宅の魅力のひとつですよね。
だからオリジナリティがあって良いと思います。
 

収納も沢山ありますね!

収納は通常は延床面積の15%といわれています。
でも、「それに合わせて荷物を捨てられるか?」と考えると、趣味もあるので難しいケースって実は多いんです。
狭小と大豪邸の15%もずいぶん違いますよね。
 
建築家に依頼すると、今住んでいるお家を図り伺います。
物量を知りたい、片づけらない部分を知りたいんです。
だから私は、「今の状態のまま見に行きたいです片づけないでください」って施主さんにお願いしています。
  

ご自宅で、満足している点を教えてください

地下室が良かったと思います。
お客さんにもよく提案していますよ。
ギターと映画が好きなので、地下室があって気軽に楽しめるのが良いですね。
マンションは基本的に楽器に向いていないです。
地下室だと横に響かないので、相当大きな音でギターを弾いても外に聞こえないです。
木造の上の部分だと音は当然伝わりますし、湿度も一定温度も一定なのも魅力です。
私の家は斜面にあって半地下なので、表面に出ている所から採光しています。
 
それと、屋外空間も良かったです。
玄関ポーチを広げるだけで豊かな生活になります。
子どものプールや自転車おきば、親戚がくれた野菜を置いたり、カッパを乾かしたりもできます。
子どもが野球の素振りをすることもあるんですよ。
 

寝室

不満はありますか?

貸し駐車場を借りているので駐車場が2台欲しかったかなと。
それと、キッチンは既製品で作ったので、5~10年後にはリフォームでオリジナルにしたいです。
キッチンとお風呂をオリジナルで作るのは既製品の3倍かかるんで、予算の面からあきらめました。
 
父が日本でチェコの料理を作る料理人だったので、普通のご家庭にはないスパイスとかも沢山あるんです。
私自身も料理をしますし、子どももキッチンに立つことがあるんで、手を加えたいと思っています。
 

ご家族の反応はどうですか?

子どもが一番反応がありますよね。
友達に「お父さんが設計したんだよ」とか、そういう話を聴くと嬉しくなりますね。
 

一番大切にしているのは、「施主さんとのコミュニケーション」と笑顔で答えてくださった嶌先生。
穏やかな物腰で、分かりやすく丁寧に教えて頂けるので、とても勉強になりました。
オープンハウスは一般の方のお宅なので、嶌先生にお声がけをお願いしておくと、要望に合いそうな所にお誘いいただけます。
気になる方は是非、お気軽にお問い合わせください。

株式会社DIGDESIGNの嶌 陽一郎さんの二世帯住宅設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
salon eden

古い建物なのでオーナー様は不安がっていました。地震に強い建物を造る事が大前提でしたので室内にも耐震壁を配置してインテリアデザインに取り込んでいます。男性的な雰囲気を作る為に家具にはスチールを多用しています。

崖の上の家(建築家自邸)

高台に土地があるおかげでリビングには光がサンサンと入り家族の集まる中心地になっています。食事、くつろぎの時間を通して家族の会話を楽しんでいます。特別な材料は使わない自然の材料でシンプルにまとめた明るい内装になっています。

成城・森・人

1階は親世帯で漆喰で仕上げた古民家風に仕上げています。
2階は木をふんだんに使って仕上げています。
敷地の高低差に沿うように内部も高低差を生かした設計になっています。
都心部ではあり得ないような木々に囲まれ春には桜が咲き乱れる好立地で

四つ木の家

外部から庭が見えないように壁を立ち上げてプライベートなデッキを造りました。

松伏の平屋

「松伏の家」は農家の本家の隣に建つ子世帯の住宅です。
広大な敷地の殆どは田んぼで、ごく一部に「本家」、「陶芸教室小屋」、「倉庫・電気窯」そして今回新築した「松伏の家」が密集して建築されています。

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