ホテル・インタビュー・建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤さん


 
ホテルと言っても、シティホテル、ビジネスホテル、両者の中間的なホテル、リゾートホテル、ゲストハウス、ユースホステル的なホテル、旅館に近いホテル、などさまざまなタイプがあります。
それぞれのタイプに見合うようなデザインにしなければなりません。
 
ホテルについて建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤 の写真
愛媛県東温市河之内4885 「一畳庵」
089-966-4288

 

貴社がホテルを手がけるきっかけがありましたら教えて下さい。

 
以前勤めていた村野・森建築事務所がホテル・旅館・数奇屋などを得意としておりましたので、そこでの修行を買われて(orかいかぶられて)ある友人がホテルオーナーに紹介してくださったことがきっかけになったと思います。
 

ホテルの平面計画で注意している点を教えて下さい。

 
「節度」が重要な決め手になると思います。
専門家の間ではよくレンタブル比という言葉を使うのですが、要は収益を上げることのできる面積の比率のことをしめす数字です。
この比率をあるレベルで確保し、経営が成り立つ範囲で提案を行ないます。
 
客室の平面計画はとても重要です。レンタブル比を上げるためには細長い客室として廊下面積を小さくしますが、これには限界があります。
「限界」を心得ることが大切です。
 
最初に、家具の大きさと配置から客室の形状を詳細に検討した上で全体配置を決めます。
そうしなければあとで大変なことになってしまいます。
曲線や斜めの角度をうまく使うと意外にうまくいくことがあります。
いろいろなテクニックを「節度」を持って駆使することが決め手になると考えています。
 
提案はオーナーの哲学を咀嚼して、それをどのように補強し展開させていくかを考えます。
単にモノ的なサービスだけでなく、ちょっとした驚き・発見・出会い・交流などが利用者と運営者含めてすべての人々の間に生まれるような場を創ること、が設計者の任務と考えています。
 

ホテルのデザインで注意している点を教えて下さい。

 
「らしさ」と「意外さ」を共存させること。
ホテルと言っても、シティホテル、ビジネスホテル、両者の中間的なホテル、リゾートホテル、ゲストハウス、ユースホステル的なホテル、旅館に近いホテル、などさまざまなタイプがありますので、路線に見合うようなデザインにしなければなりません。
本来なら非日常的な空間になるのですが、オーナーの考え方やホテルコンセプトによってさまざまな演出がありうるので、設計者としては多くの引き出しを持って対応しなければなりません。
いかにもそれらしい、だけでなく、心の琴線に響く何かが盛り込まれるように考えます。異種のものが同居するような不思議な感覚、懐の深さのようなもの、を大事にしています。
 

 

ホテルの客室設計で注意している点を教えて下さい。

 
「広がり感」を大切にします。
お決まりパターンに縛られず、何が本当に必要なのかを一から考え直します。
限られた空間の中で本質的に無駄なものは省き、本来必要だが見落とされているものを甦らせるような作業です。
 
家具の配置とバランスが重要です。
大きすぎる家具や背の高い家具は、空間を狭く感じさせてしまいます。
モノが納まっても使いにくい配置であればやはり狭く感じてしまいます。
高さを揃えることも重要です。
数字上は同じ面積でも広がり感を持たせる工夫をします。
 
照明器具も重要です。
日本の既製品は必要以上に大きすぎるものが多いので、空間の広がりを得るためにはオリジナルのデザインが必要になる場合があります。
というわけでこれまで多くの家具と照明器具をデザインして参りました。
 

ホテルの共用部の設計で注意している点を教えて下さい。

  
「展開」を意識しています。
廊下・階段・ロビー・ホール・レストランなどの動線・視線・光の構成を考えます。
なんとなく人が溜まるような落ち着いた空間と動きのある空間の組合せがよいリズムを生みます。
 
たとえばトンネルのような廊下の先に光が射し込んでいる、右を見れば一つ小さな窓があり遠くに山が見える、など1コマ1コマの情景が紡ぐドラマのようなことを考えます。
その一つ一つの場面で、空間の展開、意識の展開、出会いの展開が生まれます。
これが経営に結びつくと考えています。
 

 

ホテル設計を貴社に依頼するメリットを教えて下さい。

 
モノを設計するのではなく、その背後にある「人の行為をデザインする」 ことが設計の本意だと考えています。
行為とは、経営行為もあれば客としての利用行為もあり、従業員の行為もあります。
さらに心の中で動く心理的行為もあります。もっとも大切なのは、さまざまな立場の人々が関係しあう交流行為です。
これらが最大のパフォーマンスを得るためにどのような場を設定するのか、という点についてとことん議論をして協働するスタイルです。
 
「モノ」の計画としては、客室・共用部など全体の構成を明確にしてわかり易い(使い易い)計画を提案するのが特徴です。
明快な計画であっても奥行きのある「味わい深さ」を持つという2面性を創り出すことが得意だと思っています。
 
どのようなハードな条件下であってもこのことは諦めずに追求して行きます。
その分ちょっと時間をかけてしまいますが・・・・・・。
 

ホテルの改修などもやっていただけるのでしょうか?

 
はい、行ないます。
洋風を和風に変える、ホテルを旅館に変える、その逆、などの大胆なコンバージョンも提案させていただきます。
 
耐震性云々で建替えるという動機もあるかもしれませんが、できるだけ現存の建築物を活かしてコンバートする方が良いと考えています。
そのためには優れた構造設計者との協働体制が不可欠ですが、弊社は問題なく対応できます。
 

建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤さんのホテル・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
金沢野町のホテル

クライアントの意向を把握した上で、さらにそれを上回るような意欲的な提案を期待されておりました。ペンシルビルとも言われるような縦長建築で和風をどう表現できるか、に挑戦しました。これが期待に応える道だと感じていたからですが、意匠的に大変喜ばれました。

軽井沢のホテル

レストランと前面道路との間にサンクンガーデンを設けることにより、落ち着きとプライバシーを保ちながら、つい立ち寄ってみたくなるような適度な開放性を生むことができたと思います。
空中歩廊は結界を作る役割と避難通路としての役割の両方を担っています。

 
   

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