ランニングコストを抑える工夫についてです・・・

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今回は、建物そのものの設計の仕方ではなく、どんな熱源を使って、どんな設備をどのように設置すれば、ランニングコストが抑えられるか?経済的なのか?設備設置の観点から考えてみたいと思います。
 
まず、プロパンバス、都市ガス、電気、灯油、太陽光等、それらの熱源を扱ういろいろな設備機器が出回っています。
ラインイングコストが安い順に並べますと、
 
太陽光<灯油<電気<都市ガス<プロパンガス
 
ではないかと思います。
 
太陽光パネルは、まだまだ、電気を取る効率は悪いですが、故障しないで収支が合えば、安いと思います。ただ、蓄電池も含めてもっと効率の良い製品が直ぐに出てくるでしょうから、それからでも良いのかもしれません
 
灯油は、以下4つの中では、原油価格が上がったと騒がれても、やはり、一番安いです。ただ、大型の灯油タンクなどの設置費用等イニシャルコストは少しかかります。
 
電気は、電熱線を使うストーブ、フィルム床暖房やエアコンなどは、ランニングコストもイニシャルコストも都市ガスとあまり変わらないかもしれませんが、深夜電力で貯湯槽を温める給湯、温水床暖房や、安い電気を深夜にタイマー等で洗濯機、食洗機を使えば、大分、ランニングコストが抑えられます。
ただ、3.11以降、深夜電料の価格がどう変わって行くのかは、保証されているわけではありまあせん。
それと、灯油、ガスの熱源よりもヒートポンプ式の暖房(エアコン、温水床暖房等)は瞬発力がないので、薄ら寒いと感じるときもあります。
 
都市ガスは、燃料を貯めておくタンクなどがないため灯油よりイニシャルコストの方は安いです。
 
プロパンガスは、燃料屋さん次第で設備の取付などイニシャルコストは安いです。
 
 
また、ここでちょっと考えていただきたいのは、設備の耐用年数と建物の耐用年数が全く違うことです。設備は、7年前後で、修理、交換。建物は、50年以上も持たせようと考えているわけです・・・
私のところでは、どんなに使い易く便利にランニングコストが抑えられても、建物に組み込んでしまう設備は外します。主に、ファン(モーター)を組み込んだパッシブソーラー、セントラル換気システムなどは、そのモーター、制御盤等が修理、取替ができなくなった時点で、使えなくなります。
将来、製作供給側の都合で修理、取り替えができなくなった場合、大改装か放置状態になってしまうからです。
時代と共に設備の考え方も変わってまいります。
高度成長期に流行したセントラルヒーティング、屋根いっぱいにパネルを乗せて温水を取るソーラーシステムなどもありました。それらが、いい例ではないでしょうか。
 
そう考えると、
ガスでも、灯油でも、電気でも、太陽光でも、時代に合わせて取り替えられる設備を設置することが、結局は、ランニングコストを抑えることに繋がるのではないかと考えています。
 
今のところまだまだ、灯油が安いので、灯油の給湯、FFファンヒーター、温水床暖房が、ランニングコストとしては、安いのではないかとすすめています。
燃料屋さんと契約して、毎月、タンクに給油してもらうことで、わざわざ、灯油をポリタンクに買ってくるという煩わしさはありませんし・・・
 
時代や考え方が変わってきたら、その設備に簡単に乗り換えられる家の構造、配置にしておくということも重要ではないかと思っています。
 
将来、使えなくなった設備を大改修するか、放置するか、そんなことをしなくてもランニングコストを抑えながら長く住み続けられる工夫とは、逆に、複雑に建物に組み込んだ設備ではなく、ごくシンプルに簡単に取り替えられる設備を設置することだと、思っています。
 
ただ、そのシステムに惚れ込んでいる方もいらっしゃるので、その際は、積極的にそのシステムを取り入れて設計に反映させることもいたします。
 
因みに、熱源が、ガス、電気、灯油の床暖房の温水マットは、耐用年数30年といわれていますので、お施主さんによく理解していただいて設置しています。